日経新聞は23日の朝刊で、「長崎ちゃんぽん」を運営する株式会社リンガーハットが、ラーメン店「8番らーめん」を展開する株式会社ハチバンを買収すると報じた。リンガーハットはTOB(株式公開買い付け)でハチバンの発行済み株式の5割超の取得を目指し、買収額は最大で約50億円となる見込み。だが23日午前、両社は報道を否定。真偽確認などのため、東証ではハチバン株の売買が一時停止となった。
リンガーハット(本社東京都品川区、年商350億円、東証一部)が年内にも子会社化するとされたのは、国内にラーメン店「8番らーめん」など154店を展開する株式会社ハチバン(本社金沢市、年商64億円、ジャスダック)。ハチバンは92年、日本の外食産業としては珍しく、タイへ進出。同国ショッピングセンター内のテナントを中心に出店し、現在はタイ国内に99店を展開するほか、大連や香港にも出店している。ハチバンの買収で、リンガーハットはアジア進出への足がかりを得たいようだ。
買収額は50億円。現地の消費者に合わせたメニューを共同開発、といった報道の裏で、情報は錯綜。東証では事実確認のため、23日の午前8時20分からハチバン株が一時、売買停止となった。
23日午前8時45分、リンガーハットとハチバンはともに、「本日の一部報道について」というコメントを発表。文面は両社ほぼ同じで、リンガーハットによれば「本日、一部報道機関におきまして、当社が株式会社ハチバンをTOBで子会社化する旨の報道がありましたが、本件は当社が発表したものではなく、本報道は事実ではありません」という。
両社は現在、「様々な観点から互いに協力体制を構築することを検討」してはいるものの、「現時点において発表する決定事実はない」とし、「今後、開示すべき事実を決定した場合には速やかに公表いたします」とコメントした。リンガーハットによる、アジア進出目的のM&Aは事実なのか。両社の今後に注目が集まっている。(編集担当:北条かや)