31日、阪急阪神ホテルズ(大阪市)で発覚したメニュー偽装問題を巡り、阪急阪神ホテルズ側が設置した第三者委員会(委員長・小林敬弁護士)は、その調査内容をまとめた報告書を公表した。
系列のホテルや子会社などが運営する飲食店から提供された計25品目に関して、消費者の誤解を招くような景品表示法違反(優良誤認)であったと認定し、また今回のメニュー偽装問題が起こった背景には、「ホテル業界における競争激化からくる過度の業績至上主義・利益至上主義傾向と、顧客目線の低下」などの要因があると結論づけた。
阪急阪神ホテルズが設置した第三者委員会は3名の弁護士で構成されており、去年の11月からすべての社員を対象としたアンケート調査を実施し、また33名の調理担当者に聞き取り調査を行っていた。
その調査によれば、子会社である阪急阪神レストランズ(大阪市)の経営する居酒屋などにおいて、地鶏でない鶏肉を「地鶏」と表示するなどの新たな虚偽表示が計5品目で判明した。さらには系列のホテルでも中国産のものを混ぜたそばを「天ざるそば(信州)」と表示したり、既製品であるにもかかわらず「手作りチョコ」と表示したりなど、そうした計25品目を景品表示違反と認定した。
しかしその一方、冷凍保存の魚を「鮮魚」と表示したり、絞りたてではないジュースを「フレッシュ」と表記したりなど、こうした計35品目(一部重複)に関しては、違反とは言えないが不適切であるとの指摘を行った。ただし、利益確保を目的とした故意による偽装ではないとの結論を下した。
こうしたメニュー偽装が起こる背景として、ホテル間の競争激化からくる業績・利益至上主義傾向の存在、またコンプライアンス体制の不備やその意識の不足、部門間での連携の不備、改善提案ができにくい体制などが挙げられている。
第三者委員会は今回公表された報告書をきっかけに、「顧客や市民からこれまで以上に心から信頼を寄せられる、真にナンバーワンのホテルグループとして発展して欲しい」と述べている。
こうした報告書を受けて阪急阪神ホテルズは、「調査報告書の指摘を真摯に受け止め、信頼回復に全社を挙げて取り組む」とのコメントを発表した。(編集担当:滝川幸平)