昨年、2013年東京モーターショーで日本初公開されたフォルクスワーゲン(VW)ゴルフのフラッグシップであり、最強の心臓を持つゴルフ・ファミリーでは唯一のフルタイム四輪駆動システム(VWの呼称で「4MOTION SYSTEM」と呼ぶ)が与えられた「VWゴルフR」が日本で発売となった。
この「ゴルフR」、先代をして「ポルシェ911を追い回せる高性能ハッチバック車。否、場面によっては911を抜き去るホットハッチ」と言われたが、新型のパワーユニットの2リッターの排気量ながら直噴ターボエンジン(TSI)とし、最高出力は先代比24ps増となる280ps(206kW)/5100-6500rpm。最大トルクは50Nmも太い380Nm(38.8kg.m)/1800-5100rpmを発生する。この最大トルクの発生回転の広さが、この「R」の高いドライバビリティを象徴する。組み合わせたトランスミッションは、2ペダルの6速DSGである。
新型ゴルフRのエクステリアは「R専用パーツ」を装着することで、ふつうのゴルフとの明確な差別化が図られている。フロント部分は大型のエアインレット付きバンパーと“R”ロゴ入りのラジエターグリルを装着。ヘッドライトは特徴的なUの形を描き、特に夜になると印象的な表情となるLEDポジションランプ内蔵したキセノンヘッドライトとなる。サイドビューは5スポーク18インチアルミ+225/40R18タイヤ。そこから覗く“R”のロゴが入ったブラックブレーキキャリパー、ボディ同色の「R」専用サイドシルパネル、左右のフロントフェンダーの「R」マークが誇らしげだ。
リヤビューも印象的だ。LEDスモークテールランプは中央部分にクリアレンズが入り水平基調のシンプルなデザインを強調している。左右2本ずつ、計4本のエキゾーストパイプやハッチゲートに取り付けられた「R」ロゴなど、ひと目で新型「ゴルフR」と判るスポーティでクールなデザインだ。
ボディサイズは全長×全幅×全高4275×1800×1465mmで、ふつうのゴルフよりも20mm低められた車高だけが異なる。
日本仕様のゴルフRは、電子制御式サスペンションのダイナミックシャシーコントロール(DCC)を標準で装備。通常は4つのドライビングモード「エコ」「ノーマル」「インディビデュアル」と、R専用の「レース」に「コンフォート」が加わり、5つの設定から選択できる。なかで「R専用」の「レースモード」は、サスペンションの減衰力が高められ、エンジンの応答とDSG のシフトポイントがよりダイナミックに変化する。その一方で、「エコモード」は好燃費を得るために、エンジン、エアコン、そのほかの補機類などの作動が制限される。また、「コースティングモード」が内蔵され、ドライバーが下り坂や減速時にアクセルペダルから足を離すと、自動的にクラッチを切って、アイドル状態にすることで燃費に貢献する。
安全装備などにもまったく不満はない、VWゴルフのまさにフラッグシップ「R」だが、免許取り立ての女性や初心者でも安心してドライブできるクルマだ。一番廉価なゴルフが249万円。果たして、その価格510万円。高いと思うのか? はたまた安いと感じるのか? (編集担当:吉田恒)