小保方氏論文問題で浮かび上がる学際系研究の弊害とは

2014年03月29日 15:10

 STAP(スタップ)細胞の発見に関する論文発表で“リケジョ”として一躍注目を浴びた小保方晴子氏が、母校の早稲田大学から博士号を授与された英語論文に関してコピペ疑惑が浮上している。
 
 疑惑は論文の内容および参考文献リストが、既存の英語文献に酷似しているというもの。小保方氏本人は、下書き段階の論文が掲載されたと釈明しているとも言う。下書きだとしても該当の論文を元ネタとして用いたという解釈も成り立つため、同氏は苦しい立場に立たされそうだ。今後、早稲田大学の学内調査次第では博士論文の取り下げ、および授与した博士号の剥奪もありうる。

 さらに小保方氏が返済不要の奨学金として受け取った日本学術振興会の研究費の返還義務が生ずる可能性もある。生物界の常識をくつがえす世紀の大発見として注目されたSTAP細胞であるが、発見自体に黄信号が点りかねない状況になっている。
 
 そもそも小保方氏の研究分野は複数の研究領域が重なる「学際系」と呼ばれるものであり、医学、生命工学、生物学などが重なっている。そのため、博士論文の審査の際も、審査する側の人間たちが専門領域をカバーできていたのか疑問が残る。例えば、縄文時代の研究で博士論文を執筆したとするならば、専門的な知識を持った教員がしっかりと審査を行うことも可能となるだろう。しかし、同氏の場合は新しい領域、未知の領域の研究でもある。審査が、極端な話「ま、いいんじゃないんですか」レベルで終わってしまった可能性がある。学際系の研究分野というものは現在広く存在している。文系と理系を融合させたものや、大学以外の組織との共同研究を行う産学協同なども広く学際系に含めてもいいかもしれない。
 
 本当にコピペが行われていたとしたら、博士論文を執筆した小保方氏の道義的な責任は生ずる。しかし、その論文のコピペを見破れなかった審査教員の責任、さらには博士号を出した大学機構の責任も生ずることを忘れてはいけないだろう。(編集担当:久保田雄城)