雑誌の流通形態が紙媒体からデジタル媒体へシフトしていくなかで、スマートフォンやタブレット端末などスマートメディアに向けた雑誌コンテンツ配信は、2016年には350億円の市場規模になると予想されている。また、雑誌と読者との接点も、店舗など従来のリアルな場にとどまらず、拡がりを見せている。凸版印刷<7911>の調べでは電車などの中吊り広告の見出しに惹かれ、記事を読んでみたくなる人が6割もいるという。
そんな中、雑誌コンテンツを購入できるスマホアプリが登場した。凸版印刷とバンダイナムコグループの株式会社VIBEは26日、国内で初めて、雑誌コンテンツを記事単位で購入できるAndroidスマートフォン向け専用サービス『中吊りアプリ』の提供を開始した発表した。
『中吊りアプリ』は、バーチャルな電車内空間をインタフェースとして採用したサービス。ユーザはアプリ内の中吊り広告をめくりながら、興味のある雑誌記事をゲーム感覚で見つけ出し、記事単位で購入できる。また、毎日1記事だけ、どの雑誌の記事でも無料で読める無料チケット機能や、各種SNSとの連携機能を実装。口コミによる情報の拡散を促す。
このサービスでは、凸版印刷は、既存の印刷物と電子コンテンツを並行して制作できるマルチコンテンツ制作ライン「コンテンツファクトリー」で培った技術をもとに、出版社と連携する。そして、雑誌コンテンツの記事単位での加工・配信を実施。VIBEは既存のゲーム事業で培った独自のゲームニクスをベースに、ユーザが楽しみながらコンテンツと出会える世界観(ユーザエクスペリエンス)の創出とアプリケーションの開発・運用を行う。
主な仕様は、OSはAndroid 4.0以降(一部未対応機種あり)、アプリ入手方法はGoogle Playでダウンロード可能。アプリの利用料金は無料で、コンテンツ料金が1記事50円~(コンテンツ内容により異なる)となっている。
主な掲載コンテンツは、光文社「FLASH」、主婦と生活社「週刊女性」、扶桑社「週刊SPA!」、東洋経済新報社「週刊東洋経済」、毎日新聞社「サンデー毎日」「週刊エコノミスト」、日本スポーツ企画出版社「週刊サッカーダイジェスト」、ハースト婦人画報社「MEN’S CLUB」など12社14誌(2014年3月現在)。
凸版印刷とVIBEは今後、同サービスの展開を通じ、ユーザの多様なニーズを吸い上げて機能として反映させることでサービスの活性化を図る。凸版印刷とVIBEは、このサービスによる拡販、雑誌コンテンツ販売事業で2016年度に10億円の売上を目指すとしている。(編集担当:慶尾六郎)