最近、アメリカで話題になっているという「ハウスワイフ2.0」。高い学歴やキャリアを持ちながら「会社に使われない新しい生き方」を目指し、あえて専業主婦を選ぶ女性たちのことだ。同名の著書が日本でも発売され、議論を呼んでいる。
アメリカでは「専業主婦」が増えている。米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、12年の時点で、米国では18歳未満の子をもつ女性のうち、専業主婦の割合が29%に達した。専業主婦率は、近年で最も低かった99年の23%から6ポイント増加している。
日経新聞が報じたところによれば、同リサーチ・センターはアメリカで専業主婦が増えた背景を、「アジア系や中南米系移民の流入、女性の就職難」と分析。専業主婦の母親は約3分の1が貧困状態にあるといい、働く母親の貧困率(12%)を大きく上回る。一方で、米国では専業主婦の母親の5%が修士以上の学位を持ち、世帯年収は760万円以上。アメリカでは専業主婦が増えているが、同時に富裕層と貧困層への二極化も進んでいる。
共働きが主流になった日本でも、「専業主婦=富裕層/共働き=経済的に苦しい層」との定説はもはや通用しない。独立行政法人 労働政策研究・研修機構のレポートによると、日本の専業主婦世帯の12.4%が貧困ライン以下の収入で生活している。一方、年収が600万円以上の豊かな専業主婦世帯も47%。専業主婦の間でも格差が拡大しているのだ。
貧困ライン以下で暮らす専業主婦のうち、5人に1人は「今すぐに働きたい」と回答。彼女たちの多くは正社員ではなく、家庭との両立ができそうなパート職を探している。だが保育の手立てがなかったり、パートを含めても時間の融通が利く求人が少ないことなどから、不本意に主婦を続けるケースも目立つ。
最近では、外食産業や介護分野で人手不足が深刻になっている。だがこれらの求人は「週3日から可能」などとされていても、実際は時間的拘束が厳しいケースも多い。家庭との両立を図らざるを得ない「貧困専業主婦」たちとのマッチングが上手く行くかは未知数だ。(編集担当:北条かや)