日産自動車<7201>は15日、世界の市場規模で第4位のブラジルにて生産体制を本格化させるべく、同国で初となる工場の開所式を行った。新工場はブラジル南東部のリオデジャネイロ州レゼンテにて建設された。エンジン製造と車両組み立ての両方を行い、その生産能力は年間20万台。ブラジルにおける日産自動車のシェアは2%だが、今回開設した新工場を稼働させることにより、それを5%に高めたいとしている。
工場の敷地面積は305万平方メートルで、建屋面積は22万平方メートル。また総投資額は26億ブラジルレアル(約1200億円)。すでに約1500人の従業員を雇用しているが、これからさらにそれを増やし、総勢2000人とする予定。
こちらの工場で生産されるのは、小型車の「マーチ」や「ノート」向けのVプラットフォーム車両とエンジンであり、まず「マーチ」と排気量1.61リットルのフレックス燃料エンジンの生産が開始される。
工場があるレゼンテはブラジルの中心都市であり、人口の多いサンパウロやリオデジャネイロの中間に位置している。そのため、これら2つの都市に住む人々に対して販売が行いやすいというメリットがある。
ブラジルの市場の約7割は、イタリアのフィアットなど欧米4社が占めている。こうした状況の中、日産自動車は13年に7万7830台(乗用車、小型車の合計)を販売したものの、シェアは2.18%にとどまった。
これまで日産自動車は主力の小型車をメキシコの工場から輸入していたが、こうして工場を開設させたことにより、小型車の「マーチ」などを年間で20万台生産し、2%だったシェアを2年後には5%にまで引き上げるとしている。
しかしながらブラジルの市場は景気低迷や税率軽減の縮小により、落ち込みつつある。またブラジルにおける13年の新車販売台数も、前年より1%下回り376万台であった。日産自動車としては、こうした落ち込みについて中長期的には心配していないとし、日系自動車メーカーではトップとなる、シャア5%の目標達成に向けて意気込みを見せている。(編集担当:滝川幸平)