中国の裁判所が戦後賠償をめぐり商船三井の船舶(鉄鉱石運搬船)を差押えした件について、菅義偉官房長官は21日、「商船三井は原告との間で和解(示談)の道を探っていたと聞いているが、そうした中で突然、船舶が差押えを受けたことは日本政府としても極めて遺憾」と事態への認識を示した。
菅官房長官はそのうえで「今回の差押えの通告も含め、中国側の一連の対応は1972年の日中共同声明に示された日中国交正常化の精神を根底から揺るがしかねない」と懸念。
菅官房長官は「中国で事業を展開するすべての企業に委縮効果を生むことにもなりかねない」と強く憂慮した。
このため「中国側が適切な対応をとるよう強く期待したい」と期待を示した。
菅官房長官は「外交ルートから中国に対し、関連情報の提供を求めている。また、商船三井ともしっかり連携をとりながら具体策を検討したい。予断をもって判断することは避けたい」と慎重な対応をしていく考えをうかがわせた。
商船三井は「当社は上海海事法院と連絡を取りつつ、和解解決を実現すべく原告側に示談交渉を働きかけていたが、今般、突然差し押さえの執行を受けた」と全く予想外の事態であったことをうかがわせた。(編集担当:森高龍二)