PM2.5を含む最悪な大気汚染を解消できるか? 中国でハイブリッド車に補助金

2014年04月20日 21:16

Hybrid_system

中国のHV購入補助金制度が中国現地工場でハイブリッド車の生産を促進する。写真のようなハイブリッドパワートレーンそのものを生産することになるだろう。写真左はプリウス用、右はアクア用のユニットだ。

 中国汽車工業協会の発表によると、2013年通年の自動車販売は2198.41万台(前年比113.9%)、生産は 2211.68万台(同114.8%)。中国における自動車販売・生産ともに過去最高を更新。5年連続で世界一の市場となった。過去2年間は販売・生産ともに伸び率が5%を下回る低水準だったが、2013年は2桁プラスに回復した。

 乗用車の通年販売は1792.89万台(前年比115.7%)、生産は1808.52万台(同116.5%)となり、これも過去最高を記録した。新規購入者や買い替え需要、中国都市部の「クルマ総量規制」を懸念した都市住民の駆け込み需要も貢献したようだ。中国では北京や上海、広州などに続き、2013年12月に天津市でも総量規制が導入された。

 この総量規制はPM2.5(微笑粒子状物質)を含んだ深刻な大気汚染や都市部の大渋滞を押さえ込むための中国政府の施策だ。抽選に当たった個人や企業に限ってナンバープレートを取得できるという処置である。また、今年3月からは、ナンバープレート末尾の数字によって市内に入るクルマを曜日で制限する。

 中国の大気汚染を封じ込めるために政府は電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)を「新エネルギー車」と位置づけて、その購入者に補助金を出している。EV購入に5万7000元(約94万円)、PHVには3万3250元(約55万円)という高額な補助金だ。

 ところが、昨年の新エネルギー車の通年販売は、前年比137.9%と伸び率だけをみると凄い数字に思えるが、販売台数は僅か1万7642台(EVが1万4,604台、PHVが3038台)でしかない。中国政府は昨年9月に新エネルギー車の補助金支援策を継続すると発表しているが、急速充電器スタンドなどのインフラ整備が進んでおらず、また車両価格が高価なことが普及を妨げている。

 業を煮やした中国政府は、新エネルギー車にハイブリッド車(HV)を加えて補助金支給の検討を始めた。補助金は1台あたり1万5000元(約25万円)と前出の2車種に比べて低いものの、HVを購入する動機にはなる。しかも、HVならガソリンスタンドさえあれば、特別なインフラは必要ない。都市部だけでなく、大陸の奥地でも使える。2015年から補助金支給が始まるらしい。

 このような政策発表を日本のトヨタやホンダは予測していたようで、中国の生産拠点で大規模なハイブリッド車の生産をスタートさせる模様だ。いくら補助金があっても日本からプリウスやアコードなどのHV完成車を輸出したのでは、価格面で折り合いが付かない。日本や欧米向けのHVとは別の中国および新興国向けHV生産を狙っている。

 トヨタは中国江蘇省・常熟市にあるトヨタ自動車研究開発センター(中国)(TMEC)が主導して現地向けHVの開発を行なっている。ホンダは広州本田汽車研究開発有限公司や本田技研科技(中国)有限公司が主導することになるだろう。

 中国の自動車市場をリードしているのは、早くから中国で現地生産をスタートさせた独フォルクスワーゲンと米GM。それぞれ28%程度のシェアを獲得している。出遅れた日本メーカーのなかで最初に進出したホンダが15%程度。日本メーカーにとって、新エネルギー車補助金制度にハイブリッド車が加わることは絶好のチャンスかもしれない。(編集担当:吉田恒)