【日経平均】貿易赤字による円安で上昇しても結局3円安

2014年04月21日 20:13

 前週末18日のNY市場は「聖金曜日(グッドフライデー)」で休場。21日朝方の為替レートはドル円102円台半ば、ユーロ円141円台半ばで前週末とほぼ同水準だった。

 取引時間前の外資系証券の売買注文状況は売り越しだが注文自体少ない。3月の貿易統計は1兆4463億円の赤字で赤字幅が市場予測を超えて過去最大。赤字は21ヵ月連続になった。為替は円安で反応し、日経平均は33.18円高の14549.45円で始まる。午前9時10分すぎには15600円にタッチするなど順調。TPP交渉が難航する中、巨額貿易赤字による円売りを嘆くべきか、喜ぶべきか気持ちは複雑。プラス圏、15600円手前の値動きが続いた後、9時40分頃から14630円付近まで急伸。10時台には円安の追い風でさらに上昇し10時14分には18日時点の200日移動平均線14637円を越え14649円に達した。しかし上海市場がマイナスで始まると日経平均も水準を少し切り下げる。香港市場はロンドンに合わせてイースターマンデーの休場で、市場カレンダーはいまだにクラウンコロニー。日経平均は下がっても14600円は割り込まず、前引は14607円だった。

 後場当初は薄商いの中、14600円を割り込んでジリジリ下げる。1時台になると先物主導で上昇幅を急速に縮め、TOPIXはマイナスに転落。為替のドル円も円高方向に少し進んでいた。1時25分にはとうとうマイナスに沈む。岸田外務大臣がTPP交渉について「オバマ大統領の訪日は目安になるがタイムリミットではない」と述べたのが売り材料らしい。23日までの決着は厳しいという観測が支配的でも政治家の発言は重みが違うのだろうか。それでも25日移動平均線の14493円がサポートラインになり14500円は割り込まずにプラスに転じて小幅高水準で推移する。TOPIXはほとんどの時間マイナスのまま。それでも日経平均は徐々に値を切り上げ、2時台はおおむね14540~14560円のレンジで小動き。3連休明けのNY市場を確かめたい様子見もあった。しかし大引けが近づくと再び下落し、結局マイナスで引けて3.89円安の14512.38円で小幅反落。日中値幅は146円だった。TOPIXは-1.97の1171.40で5日ぶりの反落。売買高は17億株、売買代金は1兆3074億円で商いは低迷が続いていた。

 東証1部の値上がり銘柄は664、値下がり銘柄は970で全体の53%を占めた。33業種別騰落率はプラス13業種、マイナス20業種。プラス上位は鉱業、石油・石炭、その他金融、パルプ・紙、その他製品、情報・通信など。マイナス下位は不動産、医薬品、建設、ゴム製品、鉄鋼、海運などだった。

 日経平均採用225種は値上がり90銘柄、値下がり118銘柄。プラス寄与度1位はアリババのアメリカ上場を4月中に申請すると報じられたソフトバンク<9984>で+11円、2位は京セラ<6971>で+7円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-5円、2位はアステラス製薬<4503>で-5円だった。

 メガバンクはふるわず、三井住友FG<8316 >は39円安、三菱UFJ<8306>は5円安、みずほ<8411>は1円安。野村HD<8604>は値動きなし。中国で「北京国際自動車ショー」が開幕。中国政府が大気汚染対策でHV車に補助金を出すと報じられ日本勢には追い風になる。HVを中国で現地開発するトヨタ<7203>は6円高。ホンダ<7267>は9円高、中期経営計画を上方修正したマツダ<7261>は4円高だった。

 パナソニック<6752>は家電事業をアジアに移管して現地で製品企画などを行うという材料があり10円高。ソニー<6758>とシャープ<6753>は値動きなし。東芝<6502>は3円高、日立<6501>は3円安。NEC<6701>は6円高だったが、富士通<6702>はアメリカにデータセンターを2カ所開設すると報じられたものの4円安と、電機大手は高安まちまち。ジャパンディスプレイ<6740>はゴールドマンサックスが新規に「買い」のレーティングをつけて7円高で年初来高値更新。日本電産<6594>とともに決算発表を翌日に控えた日本電産コパル電子<6883>は50円高で値上がり率8位だった。

 18日に3月期決算を発表した東京製鐵<5423>の3月期は5期ぶりの黒字転換。今期は80億円の大幅増益見通しだが市場予測を下回ったため41円安で値下がり率2位になり失望売りの洗礼を受けた。