30日、九州電力<9508>は川内原発(鹿児島県)1号機と2号機について、これまで原子力規制委員会からの指摘を踏まえた上で、新規制基準に基づく「設置変更許可」の補正申請書を原子力規制委員会に提出したとの発表を行った。原子力規制委員会は提出された書類をもとに審査書案を作成し、意見を募集した上で正式決定を行う。審査書案は早ければ5月中にまとめるとしている。
九州電力が今回提出した補正申請書は7200ページに上り、原子力規制委員会から受けたこれまでの指摘を踏まえ、想定される最大の地震の揺れを示す「基準値振動」をこれまでの540ガル(加速度の単位)から620ガルに引き上げたほか、最大の津波の高さ想定も4メートルから約5メートルに引き上げた。これ以外にも、新規制基準に基づき新しく求められた重大事故対策や、火災や竜巻などの対策も具体的に示し、持ち運びの出来る電源や冷却設備などを増強するとした。対策費の総額は約1300億円で、これまでよりも約500億円増えた。
原子力規制委員会は3月に川内原発1号機と2号機の安全審査を優先的に進めるとの決定を行っており、審査されている10の原発の中で一番早く審査が終わる可能性が高くなっている。
九州電力からの補正申請書の提出を受け、原子力規制委員会はこれを基に審査合格証の原案となる審査書案を作成する。審査書案の作成には1ヶ月程度かかるとみられており、その後に予定されている意見募集などの手続きを経て審査終了となるため、早くても7月以降になるとみられている。しかし再稼働にあたっては地元の同意や避難計画の策定も必要となるため、まだまだ川内原発の再稼働の時期は見通しの立たない状況が続く。
去年の7月から始まった新規制基準の適合性審査は、基本設計や方針を審査する「設置変更許可」以外にも、機器類の詳細を審査する「工事計画認可」や、運転管理体制を審査する「保安規定認可」などの審査を一体で進めてきた。
九州電力は「工事計画認可」と「保安規定認可」に関しても、補正申請書の準備が整いしだい提出するとしている。今回の「設置変更許可」が認可され、「工事計画認可」「保安規定認可」も認可されれば、審査は終了することとなる。(編集担当:滝川幸平)