「エネルギー問題」は「原発問題」だけに留まらないということを私たちは知るべき

2014年04月27日 15:26

 「エネルギー問題」をどう考えるか―あなたはこの問いにどのように答えるだろうか。もし思い浮かべた答えが「原発か、脱原発か」という議論であったなら、その考えは誤りかもしれない。

 東日本大震災以来、日常的なトピックとして「エネルギー問題」が急浮上して来た。福島原発事故を目の当たりにした私たちは、いつの間にかこのエネルギー問題を「原発か、脱原発か」、「原発か、再生可能エネルギーか」という原発問題とセットで考えるようになってしまっている。しかし実際に考えなければならないのは原発だけではない。エネルギー自給率こそ、今すぐに取り組むべき問題で、その中に原発の問題も含まれているといことである。

 このエネルギー自給率を知っている人はどのくらいいるだろうか。よく日本の食料自給率の低さが問題とされるが、エネルギー自給率は食料自給率の比にならないほど低い。世界で第4位のエネルギー消費大国である日本のエネルギー自給率は驚くなかれ11.2%(2011年、海外電力調査会調べ)という低い数字なのである。日本は大量のエネルギーを消費しながら、ごくごく一部しか自給できていないのである。

 それでは自給できていない分をどう補っているのだろう。もちろん他国から購入しているのである。日本はエネルギー全体の約半分の44.7%を石油に頼っているが、この石油の実に86.6%(2010年、石油連盟統計資料より)は中東から輸入されたものだ。中東という不安定な地域に私たちの明日の生活が握られているといっても過言ではないのである。これこそ、私たちが今すぐに考えなければならない本当の「エネルギー問題」だ。

 今年2月、ロシアがウクライナのクリミア半島に侵攻し世界に衝撃を与えたが、そこで目を引いたのがロシアの強気な姿勢である。なぜロシアは強気でいられたのか―それはロシアがヨーロッパ各国に大量の天然ガスを供給しているからである。例えばEU随一の経済規模を誇るドイツは天然ガスの総需要の3分の1強をロシアから輸入している。そのような状況の中では、ロシアに強硬な姿勢を取れるはずもない。

 私たちはここから教訓を得るべきだ。エネルギーを他国に依存することは、百害あって一理なし。いかにしてエネルギー自給率を高めるか、今こそ私たちは考えるべきだろう。(編集担当:久保田雄城)