25日、神戸製鉄所<5406>は2021年度にも売電用の石炭火力発電所を、17年11月に休止予定の高炉跡地(神戸市)に増設すると発表した。発電規模は原発1基分に相当する最大140万キロワット程度になる見通し。投資額は未定。
神戸製鉄所は関西電力<9503>が予定している出力150万キロワット分の火力電源の入札に応じるとしており、今回の計画の隣接地にすでに発電能力が140万キロワットの火力発電所を構えていて、そちらでは02年から全量を関西電力に販売している。また栃木県真岡市にも新しい発電所を建設中であり、19年度から東京ガス<9531>に販売を行う予定。電力供給事業を鉄鋼などに並ぶ安定収益源として成長させたい考えだ。
今回発表された石炭火力発電所は、17年11月に休止予定の、神戸市にある神戸製鉄所内の第3高炉跡地に増設される予定。発電方式は微粉炭火力による超々臨界圧発電設備。発電規模は、最大140万キロワットの予定で、供給開始時期は21~22年度ごろとしている。
建設機械事業は輸出が多いため為替に左右されやすく、また鉄鋼などの素材事業も輸出産業への供給が多ため、為替の影響を受けやすい。こうしたことから神戸製鉄所は電力供給事業を拡大させることで、収益の安定化を検討してきた。
そして02年度から神戸製鉄所は今回の石炭火力発電所増設予定地の隣接地で火力発電を運営しており、その全量を関西電力に販売することにより、年間売上高が800億円、経常利益が150億円前後と大きな安定収入源となっていた。
関西電力が今年度に実施する電源調達に向けた入札に、神戸製鉄所は応募する。落札状況によって最終的な発電能力などの条件が決定されるが、建設費は総額で1000億円以上になることも予想されている。神戸製鉄所は早ければ18年の春ごろにもその石炭火力発電所の建設に着工し、21~22年度ごろからの電力供給開始を目指している。
神戸製鉄所は今後、発電所の増設に関する環境アセスメントに向けて、関係行政機関や地元の同意を得るための準備を進める。(編集担当:滝川幸平)