先日、友人の子供に会った時に驚かされた。その子は3歳になったばかりなのだが、なんと親の使っているスマートフォンを巧みに使いこなしているのだ。画面のロックを解いて、お気に入りのゲームアプリを起動させて、プレイすることはもちろん、写真撮影もお手のもの。こんな「デジタルネイティブ」は、今や珍しくないらしい。
佐賀県教育委員会は今年度、ICT(情報通信技術)教育の専任組織「教育情報課」を設置し、県立高校の新入生に県教委が指定する学習者用PCを購入させることにした。また、同県武雄市では「反転授業」などを推進するため2015年度までに全市立小・中学生に1人1台のタブレットPCを配布することを決めた。東京都荒川区も今年度から区立小・中学校全校に1人1台のタブレットPCを導入している。理数系教科における図形やグラフ、動植物の生育や物理分野などの科学的現象のシミュレーションやイメージを容易に視覚化できることや、実技教科の設計、作曲などこれまで授業で取り上げることが難しかったことなど、ICT機器を用いることで容易に実現できるようになった。「ゆとり教育からの脱却」や「教育の質の向上」の潮流が強まる中、ICT教育はさらにその存在感を強めるだろう。
だが、その一方でPCやスマートフォン、携帯電話の普及によって、子供達が直面するトラブルも少なくない。無料通信アプリLINEやSNSなどを使ったいじめやネット閲覧による生活習慣の乱れは大きな問題になっている。愛知県刈谷市では市内にある全21校の小・中学校の保護者と連携し、児童生徒に午後9時以降、スマートフォンや携帯電話を使用させないという試みを始めた。文部科学省も小・中学校へのスマートフォンや携帯電話の持ち込みを原則禁止するように各都道府県の教育委員会に通知している。
ICT教育が浸透していく一方で、子供とネット、ICT機器との環境についてはまだ整備していく必要がある。また、ICT機器が教育に欠かせないものになる中で、その購入費用や維持費など家庭の金銭的負担という問題も避けては通れない。
ネットやICT機器についてや、それらが子供達に与える影響について家庭がどの程度認識しているのか、ということもこれからは重要になってくる。最早「インターネットは苦手」とか、「パソコンや機械は嫌い」などとは言えなくなってきているのだ。ネットに溢れる情報との接し方や人との関わり方、マナーやモラルについてなど『人として大切なこと』をICTとの向き合い方ということを通じて、子供に語れるスキルが親に要求されそうだ。(編集担当:久保田雄城)