特別支援教育の生徒を支援 ICT機器の活用で 東大先端研・日本マイクロソフト・エデュアス

2014年04月19日 19:39

 我が国の特別支援学校数は2004年には999校だったのが13年には1080校と年々増加傾向にある。これに比例して支援学校の児童数も98,796人から132,568人となり、10年足らずで1.3倍となった計算だ。少子化によって地域によっては学校閉鎖となることもあるのに対して、支援学校・学級の増加は著しい。

 これには様々な要因が考えられるが、主な要因には2007年に盲学校・聾学校・養護学校を「特別支援学校」に一本化し、発達障害なども対象としてきめ細かい指導を行うようになったことが挙げられる。

 一方で特別支援学校の数が潜在的な児童数に対して不足しており、受け皿の整備が叫ばれるなど、支援が必要な児童に十分な手が届いているとは言い難い。

 こうした事態を改善するためにICTを活用しようとする取り組みが始まっている。東京大学先端科学技術研究センター、日本マイクロソフト株式会社および株式会社エデュアスは、学習に困難のある児童生徒の学校での生活をICTでサポートする「DO-IT School」プロジェクトの実証研究事例をまとめた「DO-IT School」研究報告書をWEB公開した。

 「DO-IT School」では、特別支援教育におけるICT機器の利活用の可能性追求を目的に協力教員・指導者を募集し、13年6月から14年3月にかけて実証研究を行ってきた。読み書きに困難のある児童をWindows 8 タブレットなどの利活用によってサポートする「ディスレクシア プログラム」と、肢体不自由などの理由により、通常の方法では能動的活動や意思表出に困難のある児童の、顔や手などのわずかな動きを感知してコンピューターに信号を送ることができるセンサー 「Kinect for Windows」を活用してサポートする「OAK プログラム」の2つのプログラムによる研究が行われた。

 ディスレクシア プログラムの実証研究では、読み書きに困難があった児童の作文技術や読解、漢字の書き取りなどの技術が向上したり、なにより児童自身の集中力、やる気に改善が見られた。

 OAK プログラムの実証研究では、プログラムの活用によって児童との意思疎通がさらに深まったり、能動的に何らかの作業に取り組む姿勢がみられるようになるなど、多方面で効果がみられた。

 発達に障害があったりあるいは身体が不自由であっても、適切な教育機会が得られれば能力を発揮することは十分可能だ。「DO-IT School」プロジェクトの研究が、こうした児童の可能性を開かせる一助となることは間違いない。今後の継続的な取り組みがぜひとも期待されるところだ(編集担当:横井楓)。