子供の学習能力を図る指標として最近注目を浴びているのが、経済協力開発機構が3年ごとに実施しているPISA(Programme for International Student Assessment)である。15歳の子供(日本では高校1年生)を対象にした、知識や技能の活用度を測定している。数学的リテラシー(読み取り能力)と読解力、科学的リテラシーなどから構成されているもの。2012年に65か国、51万人の生徒を対象に調査したが、日本は数学的リテラシーが7位、読解力が4位、科学的リテラシーが4位となった。
この調査、東アジアの国々やフィンランドが上位を占めることが特徴である。米国は数学的リテラシーが36位、読解力が24位、科学的リテラシーが28位、ドイツはそれぞれ、16位、20位、12位という結果になった。各項目の上位陣は東アジアやスイス、フィンランド、ポーランドなどの国々が3つの調査項目それぞれ上位を占めている。
教育政策を考えるうえでよく話題に上る調査だが、いったいどういった問題が出されているのかは知られていない。たとえば数学的リテラシーの問題を見てみると、CDの売り上げ月間枚数のグラフを見て、数字の変動を答えさせる「ヒットチャート」問題、船の速度や燃料の費用を答えさせる問題、点滴の落下速度を答えさせる問題、回転ドアの角度をこたえる問題などからなっている。正直、中学校の数学よりやさしく、中学受験の算数より難しいくらいという印象である。
学力低下、大学教育についていけない学生の問題など「教育改革」が叫ばれるものの、実態を見ると「日本人は優秀だなあ」と思わざるを得ない。この結果に安心をした人も多いだろう。「いや、まだ中国に負けている」という声もあるが、一部の限定的な能力を測定する調査なのでそれほど目くじらを立てなくてもいいのではないかと思う。ひとつの参考情報として見るべきだし、それが「リテラシー」というものだろう。(編集担当:久保田雄城)