2012年度から中学校でのダンス授業が必修化され、丸二年が経った。文部科学省によると、ダンス授業は「創作ダンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムのダンス」で構成されており、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることができるとしている。
実際、通信教育、出版などの事業を行なう株式会社ベネッセコーポレーションが2012年に同社の携帯サービスを通して中学生102人、高校生344人を対象に行ったアンケート調査によると、中学生の72パーセントがダンス必修化について「うれしい」と回答している。また、高校生の69パーセントが「ダンスが好き」と回答していることからも、ダンス授業は子供たちにも概ね好評だといえるだろう。
そんな中、公益社団法人日本ストリートダンススタジオ協会(以下NSSA)は文部科学省後援事業「踊育(だんいく)教育プロジェクト」を推進し、コミュニケーション力の強化や礼儀教育、自己表現の向上、グローバルな視野、健康な体づくりなどを提唱しているが、そんな活動に賛同する企業も増えている。
例えば、学生服の製造販売を行う菅公学生服株式会社は、CSR活動の一環として、ダンス教材DVDの作成やWEBダンスコンテストの開催などを行っているが、2013年4月~2014年3月の期間、NSSAが全国100会場で実施した教員向けリズムダンス研修会を支援している。
また、缶コーヒーでおなじみのダイドードリンコ株式会社では、東日本大震災の発生を契機に、「地域コミュニティ貢献積立金」を設けて継続的な社会貢献活動に取り組んでいるが、その積立金の活用方法の一つとして、NSSAの協力を得て、2012年より「踊育(だんいく)‐東北ダンスプロジェクト‐」を実施している。このプロジェクトは、岩手県、宮城県、福島県の東北3県の小学校や幼稚園でのダンス授業、教員向けダンス研修会を行うことで、東北の子供たちに「ダンスを通して明るく元気になってほしい」との願いから生まれたものだ。被災地の子どもたちが体を動かすきっかけづくりにも役立っている。初年度の2012年は30校2771人、13年は101校7919人を対象に行われており、3年目となる今年も100校を予定している。ちなみに、先般4月23日には、4月16日付で同社の新社長に就任した髙松富也氏が宮城県知事への表敬訪問を行ったうえ、石巻市立石巻小学校の子供たちが元気に踊る今年度第一回目のダンスレッスンの模様を報道公開した。
ダイドードリンコでは単年度の業績に左右されることなく中長期的な支援を可能とするために、こうした目的積立金の方式を採用しているというが、確かに子供たちの明るい未来のためには一過性のイベントではなく、中長期的な視野を持った活動が必要だろう。ダンスそのものも教育効果は高いのかもしれないが、こうした取組みに積極的な大人の姿勢を見せることも、子供たちにとっては大切な教育的意義があるのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)