バイクブーム再来か?リターンライダーと新たな問題点とは

2014年05月11日 21:11

クルーザーモデルは中高年ライダーに受けるのか?

写真はホンダのクルーザーモデル「CTX1300」のダークネスブラックメタリック。

 1980年代に空前のバイクブームがあった。これは今の40代後半以降の中高年者にとってまだまだ記憶に残っているのではないだろうか。しかし、2013年の国内のバイク総販売台数が46万台に対して、ピークの1982年は329万台だったことを考えると現在の販売台数は目を覆うばかりの惨状といってもいいだろう。

 もちろんこの間世界に冠たる日本のバイクメーカーが手をこまねいていたわけではない。毎年魅力あるバイクを発売してはライダーの耳目を集めていたのも事実だ。それでもバイクが売れなかったのはバブル経済の崩壊もあるだろう。それにも増して言えることはレジャーの多様化だ。スポーツといえば野球だった時代から今ではサッカーなどのいろいろなスポーツがその裾野を広げているのだ。

 バイクだけではなく車も売れなくなったといって久しいが車は生活に欠かせない乗り物であり、趣味性の強いバイクとはやはり同列で考えるわけにはいかないだろう。その中でここ数年、80年代のバイクブームの立役者であった若者が、中高年となりリターンライダーとして復活してきているのである。

 ここ数年大型二輪を中心として新車販売台数が若干持ち直しているのはこのような中高年のリターンライダーの力が大きいのだ。若さに任せてバイクを乗り回していた時代、社会に出て家庭を持ちバイクを降りた時代、そして生活や時間に余裕ができた今、多様なレジャーがある中でバイクに戻ってきたのだ。

 バイク業界にとっては過去の遺産であるバイクブームがリターンライダーによっての復活しつつあると言ってもいいのかもしれない。でも、しかし、このリターンライダーがバイクを降りた後は、ひょっとしたらもうバイクが復活することはないかもしれない。

 また心配されるのは、リターンライダーの事故が増えていることだ。バイクは当時と比べたらより乗りやすい乗り物にはなった。しかし、安定感と引き換えにバイクはより重たくなり体力が衰えている中高年には乗りこなすにはきつい乗り物であることは間違いない。衰えを信じたくない気持ちはわかるが、自分の体力にあった運転を心がけることが大事であり、事故を起こさないことがバイク業界全体の底上げになることは間違いないだろう。(編集担当:久保田雄城)