世界的なデザイン賞で高評価された国産バイクが近日発売

2014年03月30日 19:32

日本製バイクが二つの世界的なデザイン賞を獲得

写真のABS付きモデルは「MT-09A」。カラーは“ディープオレンジメタリック8”

 ヤマハ発動機<7272>の「MT-09」が、ドイツの「iFデザインアワード」と「Red Dot(レッドドット)アワード」の二つの賞を受賞した。

 まず最初に受賞を果たしたのは、「iFデザインアワード」のプロダクト部門である「iFプロダクトデザインアワード2014」だ。「iFデザインアワード」とは、ドイツのハノーファーを拠点とする、デザイン振興のための国際組織「インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF)」が、1953年から主催しているもの。カテゴリーは3部門あり、2014年度は世界55ヵ国から多数の応募があった。

 二つ目の受賞となったのは、「Red Dotアワード」の「プロダクトデザイン」部門。ドイツの「ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター」主催による、世界的にも格式の高いデザイン賞だ。こちらもカテゴリーは3部門あり、2014年度は世界53ヵ国、約1800の企業やデザイナーから、合計4815点もの応募があった。

 「MT-09」は、排気量600~850ccのアッパーミドルクラスに位置するバイクで、ヨーロッパにおいてはスタンダードなカテゴリー。それだけに、幅広いライダーに支持されており、各メーカーが魅力的なモデルを多く投入、シェアを奪い合っているマーケットだ。

 バイクのカテゴリーの一つに、“スーパースポーツ”があるが、これは、より速く走るために、エンジン性能を高めたもので、今までも人気が高い。だが、近年は、街乗りでの楽しさも重視した“スポーツ”バイクへと好みがシフトしてきている。そこでヤマハでは、普段使いのシチュエーションの中でも、走りの悦びを感じられるようなキャラクター造りを提唱。このコンセプトに基づいて誕生させたのが、今回デザイン賞を受賞した「MT-09」なのだ。

 新設計された846cc、3気筒DOHCエンジンは、パワー110psを発生させ、軽量スリムでコンパクトさが特徴。またスロットル操作に対しリニアなトラクションフィーリングを生み、イメージした通りのタイミングで加速し、まさに人馬一体のダイレクトな“リニアリティ”を実現。ライダーの意思とバイクがシンクロナイズし、思うままにライディングできる「シンクロナイズド・パフォーマンス・バイク」となる。

 日本製バイクは高性能で故障も少なく、世界的にも人気が高く信頼性は高い。だがデザインは欧州メーカーのバイクと比較すると、どうしても控えめだったことは否めない。だが、「MT-09」のように、ネイキッドとスーパーモタードの“異種交配造形”にチャレンジし、マスの集中化を追求した造形美は、老若男女問わず、一目見ただけで虜にしてしまうほどの魅力的なカタチだろう。今回、世界的にデザインが高く評価されたのも、そういった理由が大きい。

 「MT-09」は、すでに欧州ではデリバリーされているが、日本でも4月10日から発売を開始する。国内の販売計画は年間1500台で、本体価格は78万7000円(ABSモデルは83万3000円)。この春、ぜひとも注目したい一台だ。(編集担当:鈴木博之)