長らく続いた景気停滞で、バイクや自動車の維持費に頭を悩ませ、泣く泣く愛車を手放してしまった人もいるだろう。その維持費の中でもややこしいのが税金だ。
平成25年度の租税総収入のうち、自動車関係諸税は9.5%となっており、そのうち車体本体にかかる税金は43%を占めている。さらにこの中には、自動車取得税というものがある。これは自動車の購入時にかかる税金なのだが、消費税とあわせた二重課税となり、今まで問題視されていた。それがここにきてついに撤廃される運びとなったのだ。
ただ、喜んでばかりもいられない。自動車取得税が廃止になれば、地方税収が減った分、なにかで補填する必要があるからだ。その補填先として検討されているのが、軽自動車税。軽自動車税とは、軽自動車と二輪車に、毎年かかってくる税金のことで、現在、二輪車では50cc以下が1000円、51cc~90ccが1200円、91~125ccが1600円、126~250ccが2400円、251cc以上は4000円となり、軽自動車は7200円(自家用)となっている。この軽自動車税が、原付きで最大3倍、二輪車では最大2倍、軽自動車で1.5倍もの大幅増税となりそうなのだ。
平成26年度の税制改正大綱について、トヨタ<7203>および、日本自動車工業会の豊田章男会長は、「今後、消費税10%段階において、自動車取得税の確実な廃止を実現するとともに、今回、提示された環境性能課税が、自動車ユーザーの確実な負担軽減に資する制度となるよう引き続き活動していく。二輪車や軽自動車の増税については、残念と言わざるを得ない」と会見で語った。
またスズキ<7269>の鈴木修会長は、「オートバイと軽自動車だけが1.5~2倍の増税ということになって(中略)。どこかで恨みを晴らしたい」と発言。バイクメーカーでもあり、軽自動車の販売比率が9割を超えるスズキにとって増税はダブルパンチだ。
1~11月までの二輪車や軽自動車の国内販売が好調だっただけに、メーカー各社だけでなく、ユーザーも納得いかないのは当然のこと。庶民の日常の足として使われる原付きやバイク、軽自動車が増税の対象となるのは、弱い者いじめに他ならない。さらに消費税が平成26年に8%、27年に10%と引き上げられることで、消費マインドが冷え込まなければいいのだが。(編集担当:鈴木博之)