世界的に需要が拡大しているLED照明。日本ではとくに、東日本大震災以降の節電意識の高まりを受け、オフィスや一般家庭への普及が加速した。コンビニエンスストアや量販店などの商業施設のベースライトも、軒並みLED照明に変更されている。
富士経済の調べによると、LED照明市場は2011年から2012年にかけて2倍近い拡大を見せたが、その後も需要の拡大は継続しており、照明器具市場全体におけるLED照明が占める割合は、2020年には金額ベースでは60%、数量ベースで70%を上回ると予測している。
LED照明は節電効果や長寿命もさることながら、多段階の調光や多彩な発色など、蛍光灯では実現し得なかった照明演出効果も大きな魅力だ。さらに昨今、LED照明と通信技術を組み合わせた次世代の無線ソリューションが開発されており、今後の発展が期待されている。
この分野で積極的な開発を進めているのが、日本の半導体メーカー、ロームだ。同社では、去る4月16日にローム京都駅前ビルに法人顧客向けのショールーム「ROHM Lighting Square【空間演出と体感の場 ローム・ライティングスクエア】」を開設したばかり。同施設の見所は、ロームが得意とする無線通信技術やセンサ技術を活用した空間演出で、中でも注目されるのは「EnOcean」を組み込んだLED照明制御システムだ。EnOceanは電源不要・配線不要の無線通信システムとして急速に普及している次世代無線通信規格で、ロームはこれを推進する団体「EnOcean Alliance」の主幹メンバーでもある。まさに最先端のEnOceanソリューションが体感できる施設なのだ。
また、ロームは今年2月にも業界最高の発光効率を達成した直管形LED照明を発表して話題となったが、これら同社の得意とする電源回路設計技術を活かした省エネ効率の高い照明と、最新の無線制御対応の照明器具を組み合わせ、使う時間や目的によって家中の照明をコントロールする「シーン・コントロール」など、ロームならではの次世代スマートライフの提案も行っている。
日本のLED照明市場は、低価格化や長寿命、需要の先食いなどから、2020年頃から徐々に縮小傾向に転じると予測する声もあがっている。しかし、中国、東南アジア、インドなどの巨大なマーケットでは、LED照明の導入はまだ始まったばかりだ。世界規模で考えると20年以降も成長産業といえるのではないだろうか。また、省エネ照明設備の枠を越えて、空間演出のできる一ランク上の照明システムとして無線通信技術などの付加価値を高めることで、更なる需要の開拓は充分可能だろう。(編集担当:藤原伊織)