ルノー・カングーに加わった異才は、日本ではマニアック、欧州ではヒットモデル当選確実!?

2014年05月18日 22:18

RENAULT KANGOO II EXPRESS (F61) - PHASE 2

国内で最も売れているルノー車「カングー」にちょっとマニアックな異才が加わった。115ps(84kW)の最高出力と19.4kg.m(190Nm)の最大トルクを発生するパワフルな1.2リッター直噴ガソリンターボエンジンを搭載する「カングー・ゼン」である。

 ルノー日産アライアンスという言葉なら知っている経済通でも、日本で販売している仏・ルノー(Renault)車の名前を挙げられる日本の経済記者や経済学者は何人いるだろう。それほど、ルノー製のクルマは日本で存在感が無く、売れていない。2013年度(4?3月期)の年間登録台数は4285台。それでも前年比は130.2%と健闘している。国産ブランドの逆輸入車を除くと、輸入車で12位の販売を記録している。輸入車トップの販売はフォルクスワーゲン(VW)車の7万2157台なので、その差は天と地ともいえる。1970年代後半に、ルノー5(サンク)がVWゴルフを凌ぐほどの人気モデルだったコトも本当に過去の話なのである。

 そんなルノー車ブランドで日本国内最量販モデルが写真のカングー(KANGOO)である。コンパクトなコマーシャルバン(商用車)をベースに開発した4座ワゴンだ。

 きっと、「このクルマ! 見たコトある!」という人は多いはずだ。それは、日本車やほかの欧州車にはない、独特なスタイリング「チャーミングな肢体」がヒトの記憶に残るのだろう。このクルマを路上で見かけるたびに、「乗っているその家族の豊かで楽しそうなライフスタイル」が筆者の脳裏に浮かんでくるから不思議だ。

 カングーは、その広い室内空間と高い機能性から、フランス本国だけでなく欧州で、LUDOSPACE(ルドスパス/遊びの空間)と呼ばれて親しまれている。楽しげなデザインや、機能的で使い勝手に優れたユーティリティ、広くて高い開放的な室内空間、大容量のラゲッジスペースなど、カングーには「見て」「乗って」「使って」楽しい、たくさんの工夫がある。

 今回、そのカングーにちょっと日本市場ではマニアックなモデルが追加された。これまでカングーは、良い意味で凡庸ともいえる1.6リッターの自然吸気エンジン(105ps/15.1kg.m)というクルマのコンセプトにあったパワートレーンを搭載していた。トランスミッションもごく普通の4速オートマ(AT)と5速マニュアル(MT)である。

 新たに「カングー・ゼン」に搭載したのは、ここでも最近のトレンドであるダウンサイジングが敢行された1.2リッター直噴ガソリンターボエンジンとなる。新エンジンは115ps(84kW)の最高出力と19.4kg.m(190Nm)の最大トルクを発生する。これまでの1.6リッターエンジンを軽く跳び越え、2リッタークラスのアウトプットを得たと言うことになる。しかも、組み合わせるトランスミッションは6速マニュアル(MT)だけ。欧州では人気必至という設定だ。

 新型カングー・ゼン(6MT)には、ストップ&スタート機能、減速時にエネルギーを回生するエナジースマートマネジメント、燃料消費量を最大10%削減するECOスイッチといった燃料消費を抑える機能を搭載。坂道発進をサポートするヒルスタートアシスト、滑りやすい路面で駆動輪のグリップを最適にコントロールするエクステンデッドグリップなど、快適なドライブをサポートする機能も充実している。

 ゆったり気分の個性派ルノー・カングーが、かなりキビキビ走らせられるエンジンとトランスミッションを得た。欧州ではヒット確実、日本ではマニアックな新型の価格は241.5万円だ。(編集担当:吉田恒)