先月の30日、、日産自動車<7201>とフランスのルノーは、コスト削減の共通目標金額の引き上げを行い、また研究・開発、生産・物流、購買、人事の4機能の統合深化の検討を進める方針を明らかにした。こうして統合の深化度を高めることにより、日産自動車、ルノー両方の会社の業績改善と、アライアンスのスケールメリットの最大限の活用を目指すとしている。
今回発表された2016年のコスト削減の共通目標は43億ユーロ(約6000億円)以上で、12年の時点での40億ユーロから3億ユーロ引き上げる形となった。また12年の削減額は27億ユーロであった。
日産自動車とルノーはこれまでにも共同で下請けメーカーから部品調達を行ったり、また車の基本骨格やエンジンといった基幹部品の共通化を進めてきた。これからは研究・開発、生産・物流、購買、人事の分野においても機能の統合化を検討し、これにより16年までに少なくとも年間43億ユーロのコスト削減を実現したい考えだ。両社の経営の独立は維持されるものの、実質的な事業統合に向けた動きと言えるだろう。
今回のコスト削減の共通目標金額は、日産自動車とルノー連合のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)により、アムステルダムにて開かれた幹部会合で発表された。カルロス・ゴーンCEOは研究・開発、生産・物流、購買、人事の分野の統合に向けて、それぞれの担当責任者を任命。また、日産自動車、ルノーの両社は事業運営面での改善に注力するとし、複数の分野において統合強化の可能性を探るとの方針を示した。
自動車業界では今、環境規制に対応するためのコスト増や、新興国における競争激化などにより、こうして統合や提携によりスケールメリットを追求する動きが活発になっている。
ルノーは16年からパリ近郊のフラン工場にて、ヨーロッパ向けに日産自動車の小型車マイクラ(日本名はマーチ)の組み立てを開始する予定だ。ルノーの広報担当者によれば、年間生産目標は8万2000台から最大13万2000台に引き上げる予定とのこと。(編集担当:滝川幸平)