LCCバニラ・エア、パイロット不足により154便欠航

2014年05月19日 08:32

 これまで、海外旅行などの飛行機による移動が伴う旅行にはお金がかかると思われてきた。そうしたイメージを払しょくしたのは、間違いなく格安航空会社(LCC)の存在だろう。去年一年間で、特別旅行が好きの人だけでなく、そうでない人たちの間でもすっかりその認知度を高めた格安航空会社だが、ここにきて先行きに影を落とすような発表が行われた。

 ANAホールディングス<9202>傘下の格安航空会社バニラ・エア(千葉県成田市)が16日、パイロット不足のため来月6月の国内線合計154便の運航を取りやめるとの発表を行った。取りやめとなった154便は、全体の2割にあたる。バニラ・エアは今回の運航取りやめの理由を、「6月の運航計画に必要な運航乗務員(機長)数が確保できなくなったため」としている。

 バニラ・エアは、2013年12月にエアアジア・ジャパンを引き継いで誕生した新しい格安航空会社で、成田空港を拠点に新千歳や那覇などを結ぶ便を1日に20便ほど運航している。しかし今年の3月までに28名いた機長のうち、2名が退職。そして今月に入ってさらにもう1名が退職することとなり、パイロットの数が不足。そのため、6月の運航のうち154便の取りやめを決定した模様。

 しかし7月以降に関しては、同じグループ会社である全日空から2名の機長が出向してくる予定で、通常運航が行える見通しだ。

 運航取りやめの対象となる路線は、国内線の成田~札幌間の路線と成田~那覇間の一部で、運航が取りやめとなる便を予約している旅客2551名に関しては、予約便の1週間前、また2週間後の期間内であれば同一路線への振り替えや払い戻しに応じるとしている。またバニラ・エアの後続便まで4時間以上ある場合には、指定のANA便への振り替えを行うとしている。

 その料金の安さにより急成長を遂げた格安航空会社だが、そうして利用者が増える半面、パイロットの養成が間に合ってない状態だという。今後も格安航空会社の利用者数は増加するものとみられるが、「パイロット不足」という問題をクリアしないことには、足元をすくわれる結果にもなりかねないだろう。(編集担当:滝川幸平)