シトロエンというブランドは不思議な響きを持って伝わってくる。かつての「2CV」や「GS」、「DS」は、1970年代から80年代に日本でも、熱烈なエンスージアストに支持されていた。1990年代初頭には「BX」という直線定規で線を引いたような独特なシトロエンが日本でもヒットした。
昨年、2013年度(2013年4月-2014年3月期)のシトロエン車の日本国内販売台数は2887台、その前年は3595台だったので前年比80.0%。国内販売が消費増税前の駆け込み需要で各メーカーとも大幅にアップしたなかで、きわめて苦しい状況といえる。
なかで2010年に日本デビューした2代目シトロエンC3は、日本でいちばん売れているシトロエン車だ。昨年、2013年6月に大幅なフェイスリフトを敢行し、上級車種であるC4やC5と同じ意匠のフロントマスクが与えられ、シトロエンの最新モードを纏った。同時にインテリアカラーの変更、オーディオ装置のグレードアップなどのリファインで商品力のアップを図った。
次いで、2014年2月に搭載するパワートレーンを一新した。エンジンは昨年、プジョー208に搭載した1.2リッター直列3気筒を採用。最高出力82ps(60kW)/5750rpm、最大トルク12.0kg.m(118Nm)/2750rpmという低回転域でトルクを発揮する現代的なスペックを持つ。組み合わせるトランスミッションは、ETG5(5速エフィシェント・トロニック・ギアボックス)と呼ぶシングルクラッチ方式の2ペダルだ。これまでは、1.6リッター4気筒に4速オートマティックの組み合わせだったので、新型は、いわゆる世界的なトレンドである効率化を狙ったダウンサイジングというわけだ。
このおかげで全長×全高×全幅3965×1730×1530mm、ホイールベース2465mmのお洒落なシトロエンの末弟であるコンパクトカー「C3」が、旧来車比で70kgも軽くなった。当然ながら、軽量化は燃費性能を向上させ、アイドリングストップ機構が追加された新型の燃費は、従来モデル比57%アップの19.0km/リッター(JC08モード燃費)を達成。大幅な経済性と環境性能を手に入れたのだ。
今回、この新「C3」に特別な上級装備を追加した「C3 Leather Edition」が全国200台の限定で発売される。
今回発売となる「C3 Leather Edition」は専用ボディカラーとして新色ブルーバーチャル(メタリックブルー)をメインカラー(ほか2色)として採用、インテリアにはミストラル(黒)の本革シートブリリアントブラックのダッシュボードとセンターコンソールを組み合わせて高級感を持たせた。また、16インチホイール&タイヤを標準装備とした。価格は220.0万円(消費税込み)。
国産のコンパクトカーにはあり得ない「贅沢な装備」を詰め込んだ小さくてお洒落なモデルだ。大人に似合うフレンチコンパクトである。(編集担当:吉田恒)