量産4ドアの2駆をベースにした国際レース。日本では知る人が少ないホンダも参戦する「WTCC」。2014年緒戦はシトロエンが表彰台を独占

2014年04月20日 14:20

Citroen_C-Elysee

WTCC(世界ツーリングカー選手権/World Touring Car Championship)とは、 国際自動車連盟(FIA)が管轄する世界選手権のひとつ。1.6 リッター直噴ターボエンジン+6速シーケンシャル・ミッション、4ドア、2輪駆動の量産車をベースにしたマシンで競う。モロッコのマラケシュで4月12日・13日に行なわれたWTCCの緒戦で、シトロエン・チームは表彰台を独占した。

 日本ではGTレースが人気を誇っているが、WTCC(世界ツーリングカー選手権/World Touring Car Championship)のような市販車をベースにしたレースが、今後大きな人気を獲得していく可能性がある。「世界一の喧嘩レース」と言われる迫力のアグレッシブな走り、バトルが観客を魅了して止まないのがWTCCだ。

 昨年12月16日、シトロエン・レーシングチームは、仏ヴェルサイユの同社テクニカルセンターにおいて2014年度のモータースポーツ参戦プログラムの詳細を発表した。

 その発表によると、シトロエンは今回初めてWRC(世界ラリー選手権)とWTCC(世界ツーリングカー選手権)の、ふたつのFIA主催の世界選手権を同時に戦うという。

 WTCCへ挑戦するマシン「C-Elysee」(C-エリーゼ)は、新レギュレーションに基づき車両をイアン・ミューラーが設計。ドライバーには、ミューラーとセバスチャン・ローブに加え、第3ドライバーとしてホセ-マリア・ロペスを迎え入れた。

 昨年の発表で、シトロエン・レーシングは4月5日・6日にモロッコ・マラケシュで開催されるWTCC開幕戦を心待ちにしていると自信に満ちた様子で語っていた。2013年7月のWTCCへの参戦発表、「C-Elysee WTCC」マシンが初公開。以降、サーキットで「C-Elysee」は、WTCCに向けてテストと開発が繰り返されてきた。2月にはフランス・ポールリカール、3月にはスペイン・バレンシアにおいて合同テストに参加。順調な仕上がりと、マシンの完成度の高さを示していた。

 開発当初から中心人物だったセバスチャン・ローブは、チームのNo.1ドライバーに就いた。39歳で9度の世界チャンピオンを獲得したキャリアから言って当然の結果だ。

「このチャレンジが簡単ではないことは十分に理解している。だからこそ、できるだけの準備を行なってきたし、テストでの感触は悪くない。が、レースでは思ったとおりにならないことは確かだ。しかし、シトロエンとチームメイトのミューラーとのコンビネーションは最高。今はレースが楽しみ」とは、ライバー、ローブの弁だ。

 緒戦を迎えるにあたり、チーム全員がヴェルサイユのテクニカルセンターに集結し缶詰状態で最終調整を行なった。3台のマシンがセットアップされ、ドレスリハーサルと呼ばれるテストがマニクール・サーキットで行なわれた。

 シトロエン・レーシングのワークスマシンは、4ドアセダンのCエリーゼをベースに、車両規定ギリギリの1950mmまで全幅が広げられ、それに伴いフロントバンパーや大型のリアスポイラーなどの造形も空力性能を追求した形状となった。パワートレーンの最高出力は380 馬力以上を発揮し、規定重量1100 ㎏に収められている。

 WTCC(世界ツーリングカー選手権)とは、 国際自動車連盟(FIA)が管轄するF1、WRC、WECと並ぶ世界選手権のひとつ。エンジンは1.6 リッター直噴ターボでトランスミッションは6速シーケンシャル。4ドア、2輪駆動の量産車をベースにしたマシンで競う。

 2014年からレギュレーションが大幅に変更され、大型リアウイングやワイドタイヤが使用可能なった。エンジンのパワーアップと合わせ、高速でエキサイティングなレースが期待されている。

 モロッコのマラケシュで4月12日・13日に行なわれたWTCCの緒戦のレース1で、シトロエン・チームはホセ・マリア・ロペス、セバスチャン・ローブ、イヴァン・ミューラーによって表彰台を独占。さらに、レース2でもローブが優勝、ロペスが続き、シトロエン「C-Elysee WTCC」は1-2フィニッシュを遂げ、シトロエンのデビュー・トゥ・ウインとなった。

 2014 年は緒戦を勝利で飾ったシトロエンをはじめホンダ、ラーダがワークスマシンを投入しタイトルを競う。全12ラウンド24戦、開催地は4大陸12カ国にわたる。10月25日・26日には日本の鈴鹿サーキットでも開催される。(編集担当:吉田恒)