アンチエイジング市場の活発さ、商品展開だけではない

2012年08月13日 11:00

 富士経済の調査によると、国内化粧品市場は2008年・2009年と市場縮小が続き、2010年は横這い、2011年は0.9%減の2兆2730億円となっている。しかし、そんな市場において高価格帯にも関わらず市場を拡大し、需要の伸長が続いているのがアンチエイジングである。このアンチエイジングは、化粧品市場に限らず健康食品などの市場も牽引するキーワードとなっており、高齢化とも相俟って常に高い注目を集め、企業は様々な施策でこの需要に応えている。

 つい先日も、味の素がアミノ酸スキンケアの「Jino(ジーノ)」から、速効力やエイジングケア効果をさらに進化させた「アミノシューティカル マスク」を、8月28日からリニューアル発売すると発表。コーセーも、小ジワやシミが気になる大人の女性に向けた新エイジングケアブランド「アスタブラン」6品目9品種を9月16日に発売すると発表するなど、商品展開が活発である。また富士フイルムが、肌の基底膜層に存在するメッシュコラーゲンが正常な状態だと、肌の表皮細胞が増殖して表皮層が厚くなることを見出し、メッシュコラーゲンを正常な状態に維持することで、加齢による肌の厚みの低下で生じるハリ、弾力の減少を防ぐことが期待されると発表するなど、研究も活発に行われている。

 また、活発なのは商品展開だけではない。2001年に日本抗加齢研究会として発足した日本抗加齢医学会では専門医・指導士認定制度・認定医療施設制度を設置。老化を予防し、健康長寿を目指すための生活習慣の改善から、食事・運動・ストレスマネジメントを中心に専門分野の中で、抗加齢医学を実践している医師・医療従事者を増やし、抗加齢医学(アンチエイジング医学)の普及を図っている。また、はちみつを中心とした健康食品などの製造販売を行う山田養蜂場では、予防医学の研究を通して人が病気になりにくい未来を目指し、健康素材の研究や講演会などを実施。8月24日にも、順天堂大学大学院教授の白澤卓二氏を招いて、日本の長寿社会の現状から、健康長寿のための具体的な実践方法などの紹介や、プロポリスやメリンジョの成分の長寿関連遺伝子に対する研究結果の紹介を行うセミナーを実施する。

 長寿高齢化社会の到来は、日本だけでなく、先進国を中心に世界中で問題となりつつあり、または問題となる可能性を孕んでいる。こうした中、この長寿高齢化をどのようにして経済的利益へと繋げ、深刻な社会問題となることをいかにして未然に防ぐか。アンチエイジング市場の伸長は、他国より先んじて深刻化しつつある日本が、その手本となるべきことを示しているのかもしれない。