民主党の岡田克也元外相は28日の衆院予算委員会で集団的自衛権の行使についての自身の立ち位置について「集団的自衛権を広く認める場合は憲法改正すべきだと考えている。ただ、限定に限定を加えた事例についてはまだ決めていない」とし「今後の議論の中で本当に必要性が有るのかないのかで決めていきたい」と限定的なケースについては認める可能性もあり得るとの余地を残した。
岡田元外相は安倍晋三総理が「突然紛争が起きたとき、そこから逃げようとする日本人を同盟国であり、能力を有する米国が救助、輸送しているとき、日本近海で攻撃があるかもしれない。このような場合でも日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができない」とした事例をとりあげ、「日本人を乗せた米国以外の第3国の船については、日本は守らなくてもいいのか」と質した。
安倍総理は「米国が要請して、他国の船という事もあり得る。その際、日本に対する攻撃が起こっていないときに、船を攻撃された場合、現在は守ることができないということは内閣法制局長官がさきに答弁した通りであり、与党でよく協議頂きたいといっているところ」とした。
岡田元外相は「朝鮮半島有事を想定した場合、韓国には3万人近い邦人がいる。日本国にはその邦人を無事に日本に運ぶ責任がある。民間航空機や船舶も使って輸送することにもなる。その時に第3国の船舶や航空機も活用していかねばならないが」との質問に、安倍総理は「日本人の命を守り、平和を守るという大きな責任のなかにおいて、こうした事態に対応していく責任がある」としたうえで「どこの国の船であっても邦人を運ぶ船に攻撃があった場合、これに対して個別的自衛権の行使としては対応できない」とし、集団的自衛権の行使を検討する必要を訴えた。
これに対し、岡田元外相は防衛出動の手前の段階での法整備を提起し、「防衛出動を出せば、かえってリスクを高めることになる」とした。
なお、安倍総理は「日本の近海で他国の紛争を逃れてくる邦人を移送している米国の船に対して攻撃があったとき、公海上において、邦人を守るために自衛隊が武器の行使をするという事は当然ありうるのかどうかも与党で検討いただく」とも答弁した。(編集担当:森高龍二)