ロボットは、大きく分けて自動車やエレクトロニクスをはじめ様々な関連分野の製造工程で溶接や塗装、搬送、組み立てなどを自動化する製造業向けロボットと、家事や生活、医療/介護、業務などを支援/補助、代替する非製造業向けロボット分けられる。
富士経済では、非製造業向けの日本市場は2020年には1383億円に拡大すると予測している。しかし、これらは主に介護用を中心とした医療用である。我々と生活を接するいわゆるヒューマノイドロボットの普及は20年以降になるという。
それは、人の生活と身近なシーンで利用されるため安全性や機能、自律性など他の非製造業向けロボットに比べて技術的に越えなければならないハードルが非常に高いからだ。しかし、感情を認識するロボットが登場した。
ソフトバンクモバイル株式会社と人型ロボット工学のフランスのALDEBARAN Robotics SASは5日、さまざまな技術や機能を搭載した世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」を共同で開発したと発表した。2015年2月に本体価格19万8000円で発売する。
また、2014年6月6日より、ソフトバンク表参道およびソフトバンク銀座にソフトバンククルーとして「Pepper」を設置する。「Pepper」を配置する店舗は順次全国に拡大していく予定。
人型ロボットである「Pepper」は、周囲の状況を把握して自律的に判断し行動する、独自のアルゴリズム(計算方法)を搭載。また、最新の音声認識技術や、滑らかな動きを実現する優れた関節技術、人の表情と声のトーンを分析して人の感情を推定する感情認識機能を搭載するなど、人とのコミュニケーションに特化した機能とインターフェースを備えている。
これにより、親しい友人や家族と接するように、自然なコミュニケーションを楽しむことが可能になるという。さらに、吉本興業グループの株式会社よしもとロボット研究所の協力により、お笑いやダンスなど多彩なエンターテインメントで人々を楽しませる機能も充実している。今後の一般販売に向けては、人との日々のコミュニケーションを通じて学習し、成長していく機能も実装する予定だ。
さらに、世界中の開発者が作ったさまざまな「ロボアプリ」(動きや会話、センサーなど、Pepperの各機能を組み合わせた動作プログラム)をダウンロードして「Pepper」の機能を拡張できる仕組みも提供する予定。なお、開発者向けには、「ロボアプリ」を開発するためのソフトウエア開発キット(SDK)を提供する予定で、2014年9月には、東京で技術仕様や開発方法の詳細などを公開するテックフェスティバルの開催も計画しているという。
少なくとも筆者は「ロボット」と聞くとすぐに、鉄腕アトムなどのヒューマノイドロボットを連想する。人間と同じように会話し、感情を持ったロボットだ。こんかいのPepperで一歩近づいたか。ヒューマノイドロボットと暮らす日も案外近いかもしれない。(編集担当:慶尾六郎)