医療機関向け保険 ロボット介護機器なども補償 三井住友海上火災保険が新たに販売をスタート

2014年04月19日 12:51

 患者の権利意識の向上やインターネットの普及に伴う情報量の増加など様々な要因から、医療訴訟が増加している。最高裁判所によると医事関係訴訟の新規受け付け件数は、2003年には1003件とはじめて1000件を突破、その後やや減少したものの、平均して毎年800件前後の医事訴訟が新たに発生している状況だ。

 医師が神様であった時代は終わった。患者は様々な書籍やインターネットから得た豊富な知識を背景に、医療関係者の対応に納得がいかない場合は、法律を頼りにとことん抗うというケースが増えてきた。

 とはいえ医療関係者が人間である以上、不測の事態あるいは何らかのミスが発生するのは完全に防ぐことはできない。そんな時のために医療従事者個人のリスクを補償する賠償責任保険だけでなく、法人としての病院のリスクを補償する病院賠償責任保険などに、個々の病院あるいは医療従事者は加入するのが一般的だ。

 例えば損保ジャパンでは、医療事故のリスク補償として病院開設者、医師、看護師、その他医療従事者それぞれの損害保険を設けている。さらに医療施設自体のリスクを補償する保険として、病院賠償責任保険、医療廃棄物排出者責任保険、医療機関用個人情報漏えい保険などを設けるほか、医療施設の財産リスク保険、患者・医療施設利用者のリスク保険など多様な商品を提供する。

 また日本医師会が会員医師に対して窓口となって提供する「日本医師会医師賠償責任保険」など職能団体による賠償責任保険もある。

 このようにリスクを伴う医療において保険は欠かせないものだが、このほど三井住友海上火災保険が新たに販売を開始した「医療機関総合補償プラン」は、技術の進歩が著しい医療業界のニーズを先取りしていておもしろい。

 プランは、医療機関を取り巻く主要なリスクに対して必要な補償を合理的に手配できるよう、保険とリスクコンサルティングメニューをパッケージ化したものだ。特徴的なのは、「医療分野の情報化」、「サービス付き高齢者向け住宅」、「ロボット介護機器」をはじめとする、医療機関の多様化するリスクに対応した補償を提供すること。

 情報化では、クラウドサービスを活用したデータの消失リスクを補償する。ロボット介護機器に関しては、メディカル包括機械保険として医療施設内に設置されている医療機器・ロボット介護機器に生じた物的損害を補償する。

 医療技術の進展により精密な作業に対応する医療機器の登場や、介護分野でのロボット導入が進んでいる。経済産業省と厚生労働省による「ロボット技術の介護利用における重点分野」がまとまるなど、今後ますます医療分野における機械化が進むと考えられ、三井住友海上火災保険による新たな保険は時代のニーズを読んだものといえるだろう。(編集担当:横井楓)