野次者不明のまま幕引きか 共産は徹底解明表明

2014年06月25日 20:09

 東京都議会は本会議での塩村文夏議員(みんなの党)質問中に行われた品位を欠いた野次問題を受け、「今回の事態を真摯に受け止め、二度とこのようなことが起こらないよう、都議会の信頼回復及び再発防止に努めるべく決意する」と25日決議した。

 この問題では塩村議員に対し「早く結婚した方がいいんじゃない」と野次った鈴木章浩議員(都議会自民党を離脱)が塩村議員に謝罪したものの、「産めないのか」など、さらに品位を欠いた野次を行った議員について、議会として特定し、追求していくことをせず、幕引きする決議内容となった。

 日本共産党都議会の大山とも子幹事長は「わが党はこの問題をひきつづき徹底解明する」とし「このようなことが二度と繰り返されないよう、女性の人権が尊重される議会運営に刷新するために力をつくす」との談話を発表した。

 都議会が行った決議は「平成26年第2回定例会において、一部の議員から発言中の女性議員に対し、人権侵害と言われかねない不規則発言が発せられ、都民の信頼を損ねるなど、重大な影響が生じた」と人権侵害に当たりかねないと野次の内容をごまかした。「産めないのか」は明らかな人権侵害だが、この野次が質問中の塩村議員は聴いているのに、だれが発したかはわからないまま、うやむやにされる格好。

 決議は「議員は議会の秩序及び品位を重んじなければならないと定められているにもかかわらず、このような不規則発言が発せられたことは、誠に遺憾。東京都議会は二度とこのようなことが起こらないよう都議会の信頼回復及び再発防止に努めるべく決意する」と結んでいる。

 一方「女性に対する重大な人権侵害発言を行った議員の辞職を求めるとともに東京都議会の秩序と信頼回復に関する決議」や「東京都議会の不規則発言への対応と信頼回復に関する決議」はともに否決された。

 日本共産党の白石たみお議員は同日の本会議討論で「塩村議員に対し、早く結婚した方がいい、自分が産んでから、などという今回の発言は女性に対する重大な人権侵害で、許されるものではない。だからこそ、都民、国民、海外メディアから大きな批判が相次いでいる」と訴え、「当初、早く結婚した方がいいという発言を否定していた鈴木議員は5日後にようやく名乗り出た。都議会会議規則では懲罰動議は問題が起きた日から3日以内とされていることを承知したうえで、懲罰逃れを意図したと言われても仕方ない。自分が産んでから、などという、出産にかかわる不規則発言は、さらに悪質であるにもかかわらず、発言者すら明らかになっていない。一連の女性に対する人権侵害発言は、都議会への信頼を大きく損なう結果を招いた。多くの都民から都議会に対し、議員辞職をはじめ、厳しい処分を求める声が寄せられており、都議会としての責任と対応が厳しく問われている。日本共産党都議団は都議会として、鈴木議員の辞職、その他の人権侵害発言をした議員も名乗り出て辞職するよう強く求める決議案を提案した」と賛同を呼びかけたが否決された。

 白石議員は「自民党、公明党などが提案した決議案は今回の不規則発言を人権侵害であると断定せず、あいまいなまま幕引きを図ろうとするもの。民主党、みんなの党が提案した決議案も発言者の辞職などを求めず、都民の声にこたえないもの」と批判した。
 
 白石議員は「本会議の場で鈴木章浩議員が謝罪することを求める動議の提案を行うことを議運理事会で示したが、自民党などが認めないとして一方的に議事日程に入れないようにした」とし「議会制民主主義に反することで、厳重に抗議する」とも語った。(編集担当:森高龍二)