環境相に不信任なら都議会議員は辞職勧告に相当ではないか

2014年06月21日 10:36

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地方自治法第133条は「普通地方公共団体の議会の会議又は委員会において、侮辱を受けた議員はこれを議会に訴えて処分を求めることができる」とあり、具体的手続きは会議規則で自治体が決めている

 議会の野次にも、おのずと議員としての資質を欠くものには『反省』を求め、『真意』を確かめ、場合によっては「議員辞職勧告」に値するものもあるだろう。公人の発言はそれだけ責任を伴うものだ。

 石原伸晃環境大臣の「最後は金目でしょ」発言。参院で問責決議案が出され、衆院で不信任決議案が出された。いずれも野党が提出し、与党が否決した。

 この発言、石原環境大臣が東京電力福島第一発電事故により引き起こされた放射性物質の汚染による福島県内の除染土を貯蔵する中間貯蔵施設建設を巡る問題で「最後は金目でしょ」と語ったことが問題視され、大臣としての資質を問われた。

 石原環境大臣は19日の参院環境委員会で発言に誤解を招いたとして撤回し、「国会終了後に速やかに福島を訪ね、直接お詫びしたい」と表明した。

 「最後は用地の補償額や生活再建策、地域振興策の金額を示すことが重要な課題になるということを述べたつもり」だったと本意を説明したが、誤解を生む結果になり、「不快な思いをさせ、迷惑をかけたことを詫びる」と陳謝。

 石原環境大臣が福島の被災者を軽視し「最後は金目でしょ」と言ったとは思えないし、「用地の補償額や生活再建策、地域振興策の金額を示すことが重要な課題」と発言の意図を語ったところに偽りはないと、わたしはそう感じている。

 それでも、公人であれば不用意な一言が「問題発言」「心無い発言」と言われる。環境大臣としての資質を問われ、不信任案が提出されるのだから、厳しい。

 そして、この発言が大問題になった。とすれば、都議会議員の「野次」内容は「議員辞職勧告決議案」が出てもおかしくない「問題発言」だろう。

 みんなの党の都議会議員の塩村文夏さん(35)が妊娠、出産、不妊に悩む女性への支援に都の取り組みを質した際「自分が早く結婚すればいいんじゃないか」「まずは、自分が産めよ」「子どもを産めないのか」などの野次が最大会派(自民党)の席あたりから出たという。ニュース映像を見て、野次の内容に驚いた。これこそ「問題発言」だ。

 野次を行った議員がだれか、自主的に議長に申告するよう求め、議長が注意するなり、発言した議員自らが議場で陳謝すべきだ。

 都議会会議規則105条は「議員は、議会の秩序及び品位を重んじなければならない」と規定し、108条では「何人も会議中は、みだりに発言し、騒ぎその他議事の妨害となる言動をしてはならない」としている。

 都議会議員の品位を汚したことは間違いない。野次のレベルを逸脱し、不妊に悩む女性たちを傷つける発言であることも否定できない。

 こうした意識の方が議員としてどうなのか、資質が問われてしかるべきと感じるのは私だけだろうか。公人としてどうなのかということだ。

 地方自治法第133条は「普通地方公共団体の議会の会議又は委員会において、侮辱を受けた議員はこれを議会に訴えて処分を求めることができる」とあり、具体的手続きは会議規則で自治体が決めている。都議会会議規則では懲罰を求めるには懲罰を求める事犯があった日から3日以内に文書で発議者が議長に提出する必要がある。

 そのため、3日目にあたる今月20日、侮辱に対する処置を塩村議員が議長に提出した。しかし、野次を飛ばした議員がだれか特定できていないなどを理由に、この文書は受理されなかった。

 声紋調査で野次を飛ばした議員がどの議員かを特定するのに3週間程度の時間が必要なので、会議規則の本来の意図を実効あるものにするためには「事犯が発生した日から起算して3日目」などとした規定については「事犯を起こした議員が特定できない場合は、特定できた日から起算することとする」などの解釈を行うか、追加文言を設けられてしかるべきだろう。今回を機に都議会が改めるべき課題でもある。

 文書を受理されなかったものの、これで終りにすべきことではない。当然、この野次を飛ばした都議会議員の議員としての資質は問われるべきだし、議員の特定を議長の責任において果たし、厳重注意などの対応はすべきだろう。

 野次が誰の発言だったのかは音声で特定できるはずで、議会としてきちっと対処すべきところは対処していくことが自浄機能として求められよう。

 みんなの党は声紋分析で議員を特定するとともに、自主的な議員辞職を求める姿勢だが、党から求められる前に、都議会として毅然とした対応を問題議員に対してとることが必要だ。今週の都議会の自浄能力を注視したい。(編集担当:森高龍二)