6月の東日本大震災関連倒産は17件 3年を経て収束傾向をたどる

2014年07月03日 11:50

 2014年6月の東日本大震災関連倒産は17件(6月30日現在)だった。26カ月連続で前年同月を下回った。震災から3年を経て震災関連倒産は、収束傾向をたどっているようだ。

 株式会社東京商工リサーチは1日、2014年6月の「東日本大震災」関連倒産の結果を発表した。それによると、累計は1466件(6月30日現在)に達した。また倒産のほか、事業停止や法的手続準備中の「実質破綻」が20件あり、これを含めた震災関連の経営破綻(倒産+実質破綻)は累計1486件になったという。

 「震災関連」倒産の累計1466件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の376件(6月8件)。次いで、製造業が347件(同4件)、卸売業が263件(同2件)、建設業が188件(同1件)、小売業が134件(同1件)と続く。被害型で分類すると、「間接型」1351件(構成比92.1%)に対し、「直接型」は115件(同7.8%)だった。6月は「直接型」がゼロ件だった。

 都道府県別にみると、最多は東京の438件(6月6件)。次いで、宮城110件、北海道81件、神奈川と福岡が各62件、千葉58件、群馬51件、岩手50件、茨城47件、大阪44件、静岡41件、福島・栃木・埼玉が各38件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は267件(構成比18.2%)だった。

 6月の倒産事例としては、大正7年創業の老舗観光ホテルである株式会社十和田観光ホテル(青森県)がある。同社は、宿泊客約370名収容の大型施設を備えていたが、観光客減少や施設老朽化から徐々に顧客離れが進んでいたところに東日本大震災でさらに観光客が激減し、2012年2月頃には休業を公表していた。その後、事業再開を模索したが先行きの目途が立たず破産を申請した。

 また、半導体製造装置製造の有限会社エスエス技研(埼玉県)は、東日本大震災の影響で得意先の生産活動が低下し、受注キャンセルが相次いだ。このため売上高が、前期の半分程度まで落ち込み赤字経営に陥った。その後も業績が回復しないまま資金繰りが一段と悪化、事業継続を断念して破産に踏み切った。

 震災関連倒産は、震災から3年を経て発生ペースは鈍化している。しかし、ここにきて事業継続を断念するケースが出ていて、いまだ震災の影響を引きずる企業が後を絶たない。まだまだ予断を許さない状況だ。(編集担当:慶尾六郎)