タブレットが一般消費者に浸透していることを考慮すると、それを利用した企業活動は、一つのソリューションとして有効に作用するだろう。ただ消費者に直接関連する業種においては彼らにダイレクトに届くメッセージ、つまり共感を呼び起こす訴求活動が必要だ。
7月7日、IDC Japanは、国内小売分野におけるタブレットソリューション市場について、2014年4月に実施したユーザー調査と実績調査をもとに行った分析結果を発表した。調査内容は、小売業、飲食サービス業に勤める従業員と経営者を対象に、「小売分野におけるタブレット端末の導入状況、導入意向」、それら調査結果に基づき、「小売分野のタブレットの出荷台数と、タブレットソリューション市場」について分析をしている。その中で、同社は、14年の小売分野におけるタブレットソリューション市場の売上額は、1,338億円と予測し、タブレットの出荷台数予測として、32万台と分析している。また、小売業におけるタブレットの導入と業績について関連性を調査したところ、タブレットを導入した企業は、その成果によって業績を伸ばしていると結論づけている。
同社のリサーチマネジャーの片山雅弘氏はこの調査レポートの中で、「小売分野は、労働生産性が低いとされてきたが、タブレットを導入した企業は、業績を伸ばしている。つまりタブレットによって労働生産性を上げることが可能であり、このようなことからタブレットの導入が進む」とコメントしている。さらに「小売分野は業種と職種を合わせると、業務は多岐にわたる。業種、職種のそれぞれの特徴を捉え、タブレットの利用目的別にグループ化し、的確な訴求活動を行わないと顧客に響かない」とも指摘している。
この調査結果に見られるように、タブレットが一般消費者に浸透していることを考慮すると、ダブレットを利用した企業活動は、一つのソリューションとして有効に作用するだろう。ただ、小売業をはじめ消費者に直接関連する業種においては、彼らにダイレクトに届くメッセージ、つまり共感を呼び起こす訴求活動が必要である。単にダブレットを利用するではなく、どのように使い消費者にメッセージを届けるのか、そしてそのメッセージが共感を呼び、消費・購買につながるのか、一貫したソリューションと有効に活用できるアプリケーションが今後必要になってくるのではないだろうか。
業種、業態によって異なる消費者属性や、消費動向を横断するアプリケーションとそれに見合うサービス内容など、まだまだ解決すべき課題は残っている。ダブレットソリューションは、小売業界を変革する可能性を持っているのは確かだが、利用するのは人であり、享受するのは消費者である。押しつけ的なダブレットソリューションではなく、消費者動向に基づいた真のソリューションが今後必要になるだろう。今後に期待したい。(編集担当:久保田雄城)