IT製品販売への消費増税の影響にみる景気動向を読む

2014年07月13日 18:15

 7月2日、ドイツに本社を置くマーケティング会社の日本法人、ジーエフケー マーケティングサービスジャパンは、IT製品の家電量販店における消費増税前後の販売動向を発表した。この販売動向調査によると、IT製品への駆け込み需要は年初から高まり、ピークの3月は金額ベースで前年から約8割増加し、パソコンを中心に4月もプラス成長を維持していることが判明した。

 主な増加理由としては、消費税増税に伴う、駆け込み需要が年明け以降より継続し、3月にピークを迎え、4月には、Windows XPのサポート終了の影響もあり、約1割(前年度比)の販売増加をもたらしたと分析している。またIT製品における販売動向は5月に入り前年並み、6月に入ると前年比1割減と安定を見せ始めているとしている。

 同社は、この調査の中で、2014年後半の予想として、IT製品の買い替え需要を喚起するような材料に乏しく、販売動向は鈍化、もしくは減少傾向にあるとしている。その一方で、タブレットやスマートフォンへのシフトにより、これまで、需要減が懸念されてきたPCが、今回の調査により、依然として高いニーズを持っていることを示しており、長期的には、買い替え需要は継続するとみている。

 同社が本調査内容で分析している通り、IT製品における14年後半以降の新製品や買い替えを喚起する材料が乏しく販売動向を押し上げる要因が薄いのは間違いない。その一方で、15年10月には新たな消費税増税を迎える可能性が高い。それまでに、現時点において、買い替え需要を喚起するような要因は見られず、需要減という傾向は当面継続するだろう。15年までにIT製品の需要が現時点で喚起する材料がないこと、他の製品や住宅、自動車、大型家電など14年4月の消費税増税において、買い替え需要、新規需要が一通り出きっていることから、政府の今年12月の消費税増税の可否の決定が今後の景気動向の重要な分岐点になるのは間違いないだろう。

 14年後半以降の景気動向を押し上げる要因が少ない中、政府として消費税増税にさらに踏み込むのか、またアベノミクスが効果的に日本経済に影響を与えることができるのか、非常に注目されるところである。(編集担当:久保田雄城)