企業の6割「従業員のメンタルヘルス不調把握」、「会社に知られたくない」の声も

2014年07月23日 08:19

 人事部の人66%が「自社にメンタルヘルス不調者がいる」と回答していることが、18日までに明らかになった。

 エン・ジャパン株式会社は、17日までに従業員のメンタルヘルスの把握に関するアンケート調査を行った。回答者は242名。アンケート回答者は人事担当者向け中途採用支援サイトの利用者。

 近年のメンタルヘルス不調者数の増減に関して、「増えている(53%)」と答えた人がもっとも多く、ついで「以前と変わらない(35%)」、「減っている(6%)」となった。

 従業員のメンタルヘルスの不調をどの程度把握しているかについては、「だいたい把握している(63%)」がもっとも多く、ついで「あまり把握していない(21%)」、「把握していない(4%)」となった。「(だいたい)把握している」と答えた人を対象に、現在メンタルヘルス不調の従業員の有無について尋ねたところ、「いる(66%)」、「いない(34%)」となった。

 一昔前までは、意識されることのなかった従業員の「メンタルヘルス不調」であるが、認知度の上昇に伴い企業側も、関心を示し把握しようとしている状況にあるようだ。

 不調を引き起こしたと思われる原因について尋ねたところ、「職場の人間関係(62%」」「本人の問題(51%)」「仕事の責任の重さ(46%)」「仕事の量(37%)」「家庭の事情(32%)」「長時間勤務(24%)」「取引先との人間関係(18%)」「パワハラ・セクハラ(8%)」「その他(4%)」となっており、実際の仕事内容というよりは人間関係の軋轢や勤務環境が原因となっていることが多いようである。

 さらに、メンタルヘルス不調の従業員への対策に関して尋ねたところ、「行っている(57%)」、「行っていない(36%)」、「わからない(7%)」となっており、実際に行っている対策は、「産業医の設置(67%)」「社内に相談窓口を設置(65%)」「残業削除などの労働環境改善(51%)」「メンタルヘルス不調で休職した従業員の職場復帰支援(49%)」「管理職向けの教育・研修(36%)」「社外に相談窓口を設置(33%)」「ストレスチェック等による状況把握(27%)」「従業員向けの教育・研修(26%)」となった。

 「メンタルヘルス不調」を公表することはいまや珍しいことではなくなり、企業側も対策に乗り出している。しかし、産業医や社内相談窓口の設置はあくまでも社内機関の一部門であるため、「上司に知られる可能性を考えると悩みごとも話せない(35歳・SE)」「不調が知られたら昇進に差し支えるのではないかと心配(41歳・営業)」の声もある。なんとも悩ましい状況のようだ。(編集担当:堺不二子)