梅雨入り前の冷夏予測が一転、日本列島は連日の猛暑に見舞われている。冷夏どころか、気象庁によると、7月26日には全国に設置された927の観測地点中、25%にあたる231地点で最高気温が35度以上になる猛暑日を記録しており、最高気温30度以上の真夏日に至っては76%の702地点にも上った。日本気象協会によると、7月中に猛暑日地点が200を超えるのは初めてのことだという。震災以降、日本では全国的に節電意識が高まり、エアコンの設定温度に気を配る人も増えてはいるものの、さすがにこう暑いと、ついついリモコンに手がのびて、温度を2、3度下げたくなる。何か他に、良い涼のとり方はないものか。
日本では、古来より様々な方法で涼がとられてきた。すだれや団扇などの実用的なものから、金魚や風鈴などで涼しさを感じる精神的なものまで、実に多彩だ。団扇にいたっては、飛鳥時代の高松塚古墳の壁画にも描かれているほど歴史が深い。また、日本の木造家屋も、開口部を多く設けて風通しをよくしたり、瓦で効果的に断熱したりと、暑さを逃がすための様々な工夫が凝らされている。
そんな日本独特の涼のとり方の中でも、近頃とくに見直されているのが「打ち水」だ。最近は水道から散水するだけでなく、雨水や風呂の残り湯、エアコンの室外機から出る水などを再利用するやり方や、国土交通省がすすめている保水性道路「打ち水ロード」などにも注目が集まっている。また、この打ち水の効果を利用した実験棟で面白い試みを行っている住宅メーカーも現れた。
アキュラホームでは、エアコンを利用しなくても快適に過ごせる家の実用化に向けた取り組みの一環として、なんと同社社長の自宅を含む実験棟において、井戸水を活用する居住実験を行っている。実験棟では、屋根に設置した温度センサーが40℃以上を感知すると、冷たい井戸水を自動で引き上げ、屋根に散水する。屋根の温度を下げることで、屋根裏からの輻射熱を抑え、2階の室内温度が上がるのを抑える効果がある。実験棟ではその他にも、日差しを遮る深い軒や、風の流れをシミュレーションして涼風を取り込み、天窓より自然排出する仕組みなどの工夫が随所に施されており、住宅内の体感温度を3℃~4℃下げることができるという。ちなみに、一般消費者も千葉県柏市の柏の葉展示場のほか、8月2日より全国のアキュラホーム展示場にて、様々な夏を涼しく過ごす工夫を体感することができる。
8月に入って夏本番を迎えると、暑さはさらに加速するだろう。関西電力でも、電力の需給ひっ迫が見込まれる時などに、家を離れさせて昼間の電力需要を軽減させるため、イオンやエディオン、上新電機などの協力企業の店舗で来店ポイントや割引などのサービスが受けられる限定クーポンを配信する「みる電 出かけてCOOL プロジェクト」を展開するなどの対策をとっている。
節電のため、環境のため、そして自らの健康のためにも、エアコンから離れて、心地よい涼をとり、元気に夏を乗り切りたいものだ。(編集担当:藤原伊織)