今こそ水力発電の魅力を見直す時ではないのか

2014年06月08日 15:04

 電気事業連合会の調べによると、2013年度の電源別発電電力量は、火力発電が88.3%と過去最高の割合だ。その背景には福島原子力発電所の事故を発端とする全国の原子力発電所稼働の見直しがある。原子力の発電量割合は、12年で1.7%、さらには13年には1.0%と、二年連続で過去最低を更新。5月には大飯原発の再稼働を認めない判決が福井地裁で下されるなど、現在も復活のめどはたっていない。

 原子力発電はこれまで日本の電力の約3割を担ってきたが、その電力を急きょ、火力発電で補っているという形が依然と続いている。地球規模で二酸化炭素の排出を抑える方針を交わした1997年には京都議定書が締結され、さらに今回オバマ政権がアメリカ国内での二酸化炭素排出量規制案を発表した。その内容は、火力発電所を対象に、二酸化炭素排出量を30年までに05年比で30%削減するというものだ。ここまでの大規模な試みは過去に例がなく、政治的反対勢力の抵抗は必至だが、地球温暖化対策へ向けて積極的な姿勢は国際的にも高く評価されるだろう。
 
 二酸化炭素削減へ向けての国際的な動きが高まる中、火力に頼りっきりの日本の発電状況は見過ごせない。しかし、かつて日本の電力は水力が主であったことをご存知だろうか。日本の水力発電は明治時代に始まり、大正から昭和にかけて水力発電所が多く作られた。1960年には水力は全体の5割を占めるほどで、現在1位の火力は長らく水力を越えることはなかったのだ。しかし、電力需要の高まりと、原子力開発に伴い、水力発電の影は薄くなっていく。

 2000年代における水力の電源別発電電力量の割合は全体の1割にとどまっている。ダムや川などを利用して作られる発電所は開拓しつくされ、新たにコストを見合わせて新規に設置する余地は少ないため、横ばい状態が続いている。だが、別の味方をすれば非常に安定した電力供給源だとも言えるのである。たとえばカナダは国内の発電量の半分を水力が担っているという。日本でも、自然エネルギー開発に前向きな政府の公的な資金援助をうけて、小規模の水力発電所を作ろうとする動きもある。技術開発やコストの調整で、水力発電が再び返り咲く日が来ることもあるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)