2011年の福島原発事故以降、原発に頼らない社会を目指す人々から大きな期待を寄せられているのが、太陽光発電や風力発電をはじめとした「再生可能エネルギー」だ。まだまだ電力市場全体に占める割合は少ないものの、これまでエネルギー源を輸入に頼ってきた日本にとってはメリットも多くあるこの再生可能エネルギーだが、市場が拡大するにつれひずみも生まれている。
今月、経済産業省届け出の新電力会社で太陽光発電設備販売会社の「Global Energy Japan(グローバル・エナジー・ジャパン)」(旧 ロハス電力、東京都港区)が東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債総額は少なくとも十数億円にのぼる。同社は以前より頻発する役員交代や幾度も繰り返される社名変更、個人向け訪問販売でのトラブルの多発など問題の多い企業だった。このような問題の多い企業が増えているのが、今の再生可能エネルギー業界の現状だ。
近年の再生可能エネルギーブームで、同業界には新規参入が相次いでいる。経済産業省によると、東京電力や関西電力といった既存の大手電力会社以外の電力供給事業者である「新電力」会社の届け出は原発事故前の約45社から5倍近くまで増え、現在では250社を超えているという。しかし、驚くべきことにこの届け出は書類審査のみで事業内容などは詳しく調査されない。Global Energy Japanも新電力会社として届け出をしていたにもかかわらず、設備販売のみで新電力会社本来の事業であるべき電力供給事業は行っていなかった。私たちの暮らしに不可欠なものでその重要度は計り知れない電力を供給する業者の中に「怪しい」業者が多く存在する状況を放置してきた国の責任は重大だ。
今月、16年に電力小売りを完全自由化することを定めた電気事業法の改正案が成立した。同法に従い消費者が自由に契約する電力事業者を選択できるようになれば、これまで電力10社が地域ごとに販売を独占してきた電力供給の様相はがらりと変わるだろう。この変化は再生可能エネルギー業界にとっても大きな転換点となる。自由化に伴いトラブルが多発すれば、再生可能エネルギーを導入する機運もしぼんでしまう。そうならないためにも、国は業者の精査を行い、クリーンなエネルギーを供給する再生可能エネルギー業界自体をクリーンにする努力を早急にすべきだ。(編集担当:久保田雄城)