画像はコスプレイヤー自身による写真が投稿可能な交流サイト「AMPLE!(アンプル)」。日本だけでなく、アジアやヨーロッパなど様々な国から、ハイレベルなコスプレ写真が日々アップされている。モチーフのほとんどは日本のアニメやゲーム作品だ。
世界22ヶ国の出場者から優勝者に選ばれたのは、ロシア代表の「ゼルダの伝説」だ。何のことだと思う方も多いだろうが、実はこれ、今年の世界コスプレサミット・チャンピオンシップの結果なのである。
漫画・アニメ・コスプレの聖地である日本に、世界中からコスプレイヤーが集まり、世界一を決めるこのイベント。名古屋で2003年から始まり、今年で12回目となる。元々はテレビ愛知の主催で始まったが、09年からは正式に外務省も実行委員会にも加わった。昨年からはWCS(世界コスプレサミット運営事務局)が主催している。回数を重ねるごとに規模を広げ、ジャパン・カルチャーを担う一大イベントへと成長しつつある。
初年度は日本、ドイツ、イタリア、フランスの4ヶ国のみだったが、ここ3年間はヨーロッパや東アジアを中心に20ヶ国以上が参加。遠くは地球の裏側ブラジルからも参戦している。ヨーロッパの出場常連国に加え、今年は台湾・香港も初参加。政治問題でなにかと最近軋轢の多い韓国・中国も、ここでは仲良く日本と健闘を讃え合った。
参加者たちは、世界各国の予選を勝ち抜いた歴戦の勇者たち。みんな好きな漫画やアニメ、ゲームへの愛情をいっぱいに示しながら、日本についてのイメージもコメントしてくれている。四季折々の美しさ、テクノロジーと伝統の同居した不思議な国、日本食の美味しさ…。ジャパン・カルチャーを通し、日本という国自体に親近感や憧れをもってくれたことが伝わるイベントだ。
今年は7月26日から8月3日までの1週間開催され、前述のチャンピオンシップの他、大須コスプレパレードやアニソンライブも行われた。各国参加者が名古屋各地へ表敬訪問も行い、河村たかし名古屋市長はアニメ『銀魂』のコスプレで、大村秀章愛知県知事はアニメ『名探偵コナン』のコスプレでそれを迎えたという。コスプレパレードには多くの観客や参加コスプレイヤーが集まり、県全体に認知された一大イベントへと10年かけて成長した姿は感慨深い。
ここ10年ほどで、一気に日本のアニメなどのカルチャーが世界に広まり、政府も「クール・ジャパンの輸出を」と盛んに後押しするようになったが、文化の定着に最も大切なのは、こうした現場の熱気や交流がもっと一般の人々に知られ、巻き込んでいくことだろう。そうした意味で名古屋の取組みは、10年以上をかけて結実しつつあると言える。
8月15日から17日には国内コスプレイヤーにとって最大の夏の祭典であるコミケ(コミックマーケット86)も東京ビッグサイトで控えている。ジャパン・カルチャーの熱い夏はまだまだ終わりそうにない。(編集担当:久保田雄城)