CSR活動の一環として、あるいは環境活動の一環として、各企業により活発に行われている社会貢献活動。中でも多く行われているのが植林をはじめとする森林・自然保全活動であるが、この活動には、各企業にとって単なる社会貢献活動には留まらない場合が多い様である。
飲料メーカーのサントリーでは、事業活動の生命線である水資源を未来に残すための水源涵養活動や工場での節水活動を実施。「水が育む森、森が育む水」をコンセプトに2003年から開始した水源の森を守る活動では、2011年に「工場で使用する以上の地下水を涵養する」のに必要な森林面積、約7000ヘクタールを達成したという。ここで行われている森を守る活動は、単なる植樹だけでなく、荒廃した針葉樹林を健全な森林へと誘導したり、獣害対策・竹林問題・広葉樹林の管理などである。こうしたサントリーによる活動は、環境保全の意味合いが強いものの、やはり事業の根幹となる水を守ると言った意味では、単なる社会貢献活動に留まるものではないであろう。
王子製紙では、「自分で使うものは自分で植える」という考えのもと、明治時代から木材資源確保のための国内社有林を保有し、戦後、積極的に植林を実施。1970年代からは海外植樹も開始しており、現在では淡路島の約5倍の面積に相当する30万haを目標に取り組んでいるという。これら王子製紙による植林は、紙の木材を安定的に確保するための産業植林。環境保全が第一義ではなく、将来の事業展開や循環型企業としての木材原料確保の観点から実施されているものである。
一方で、社会貢献活動の一環と明確に位置付けて植樹活動を行っているのが、山田養蜂場である。同社は養蜂業という、豊かな自然環境がなければ成り立たない農業が起源の企業であるからこそ、自然環境を保全する使命があると捉え、国内では、2001年から、本社周辺を中心に合計約115000本の植樹を実施。海外でも、1998年よりネパールで、2004年より中国で、合計約1800000本以上の木を植えており、さらには、6月9日に岡山市で「国際植樹シンポジウム」を、6月10日には津山市で「植樹祭」を山陽新聞社や国際生態学センターと共に開催。植樹について考える時間を積極的に提案をしている。
こうして各企業が実施する環境への取り組みを見てみると、自社の利益となる活動が社会貢献にもなるといったものが多い。事業との関連の上で、自社の利益となることを隠さずに活動を行う。そのことが企業への信頼を生み、一層の発展へと繋がる。今後、企業の社会貢献活動を見る際、社会への利益だけでなくそれが企業の利益にもなっているか、そこに注視して見てはいかがであろう。その企業が伸長するか否かが見て取れるかもしれない。