昨年爆発的に普及したスマートフォンやタブレットPCはもとより、家電や輸送機器、道路や建造物などの社会インフラに至るまで、身の回りの様々な分野に使用されているセンサ。あらゆる機器をより直感的に操作することを可能にしたり、様々な事象を感知・計測し知覚可能な状態にしたりすることで生活を豊かにするセンサ技術は、日々進化を続けており、近時も様々なものが開発されている。
6月27日にはゼットエムピーが、超高速小型組込みオプティカルフロー(相対速度検出)センサモジュール「e-nuvo OpticalFlow-Z スターターキット」の販売開始を発表。OpticalFlow-Zは、カメラ・FPGA・メモリを一体とした5cm角の組込みセンサモジュールで、FPGAにて実装したオプティカルフローにより最大240fpsの高速計測が可能とのこと。自動車・超小型車や次世代モビリティ等の移動体において、死角に入った車両や障害物を検知するといった用途に使用可能だという。
さらにスマートフォンなどのモバイル機器に搭載可能なものとしても、6月6日にシャープが、業界最小サイズの放射線センサモジュール<QM1H0M005x>の開発を発表。空中の放射線(ガンマ線)を電流に変換するフォトダイオードと、長年培ったアナログ回路技術を駆使して新開発した専用ICで構成されており、専用ICには、フォトダイオードから出力される微弱な電流を検出して効率よく増幅する低雑音アンプや、振動や衝撃などの外来ノイズを除去する回路を搭載。これにより、汎用の部品で構成した場合に比べて約55%の小型化、業界最小サイズを実現しているという。
一方でセンサは、電力供給するための配線や電池交換などの保守が必要となるため、その設置場所や用途は限定されている。こうした課題に対し旭硝子が、東京大学との基礎研究に基づく世界最小クラスのマイクロ振動発電器を搭載したセンサモジュールを、共に事業化を進めてきたオムロン・小西安・THHINK Wireless Technologies JAPAN社の3社と共同で提供開始すると発表。この発電器は、微弱な振動を効率的に電気エネルギーに変換して安定的に電力を供給できるため、電源配線やメンテナンスが不要だという。
センサ技術の向上と共に、周辺機器の技術も日進月歩である。こうした最新技術で日本が世界をリード出来るよう、今後の更なる進化、そしてそれを上手く事業化し、発展させられることを期待したい。