9月3日に発足した第2次安倍改造内閣は、5人の女性が閣僚に起用されるなど話題も多いが、やはり国民の最大の関心事といえば、消費税が10%へ引き上げられるのか否かということではないだろうか。現在のところ、安倍首相は増税は決定事項ではなく、あくまで景気情勢を見極めて判断すると中立の姿勢を維持してはいるものの、消費増税を支持する谷垣禎一氏が新しく幹事長に就任したことで、当初の予定通り2015年10月の増税に対して現実味が帯びてきた。いずれにせよ、決断は12月までに下されることになる。
増税が決定すれば、駆け込み需要とその反動減による経済の混乱が心配される。とくに自動車や家電、住宅などの高額商品では、8%の増税だけでも大きな影響があった。
例えば、自動車業界の国内販売を見てみると、2月時点ではトヨタ自動車Ⅷ<7203>が前年比で13%増、ダイハツ工業<7262>も16%増、日野自動車<7205>に至っては33%の大幅増となっているものの、(社)自動車工業会によると、駆け込み需要の反動減と消費者マインドの低下によって、2014年度の自動車国内需要見通しは前年度比85.6%と、前年度を下回るものと見込まれている。
また、住宅業界でも、主要ハウスメーカー10社中5社が2桁の大幅な伸びをみせるなど、13年度の売上高はそろって前期比プラスとなっている。しかし、8月の受注速報を見てみると、住友林業<1911>が32%減で11カ月連続のマイナスとなったのをはじめ、ミサワホーム<1722>も同18%減になるなど、大手メーカーが軒並み受注低迷に苦しんでいる様子が窺える。
ただ、自動車業界と大きく違うのは、主要ハウスメーカー10社の14年度業績予想は強気の姿勢を見せているところが多く、そろって増収の見通しを立てているほか、営業利益も7社が増益を見込んでいる。その理由としては、職人不足などの影響による期末受注残高のが積み残しなどもあるが、10%増税に対する消費者意識を鑑みてのことだろう。
住宅生産振興財団住宅展示場協議会が公表している「総合住宅展示場来場者アンケート 2013 調査報告書」によると、消費税が8%になる前に住宅計画を実現したいという人が12.4%であるのに対し、10%になる前に住宅の取得を考えている人が18.3%と大きく上回っている。また、それを裏付けるかのように、第2次安倍改造内閣発表後のシルバーウイークでは、各住宅展示場の来場者が前年をはるかに上回る盛況となったようだ。
例えば、日本最大の工務店ネットワークを有するアキュラホームの展示場では、今年は来場者数が前年比238%増と大幅に増えた。同社では、太陽光発電を搭載するフェアやカンナがけ体験などのイベントを実施することが集客に?がったとしているが、当然、それだけではないだろう。
いずれにしても、12月までには政府が増税か否かを発表することになる。自動車にしろ住宅にしろ、もしも購入を検討しているのなら、その時になって慌てて後悔しないように今の内から準備を進めておきたいものだ。(編集担当:藤原伊織)