どうなる10%増税 本田内閣官房参与が延期を提案か

2014年09月14日 18:15

画像・どうなる10%増税 本田内閣官房参与が延期を提案 

消費税10%の増税について、安倍首相の経済政策ブレーンである本田氏と日銀の黒田氏の間で意見が別れている。本田氏は4月の増税により景気が悪化したことを踏まえ、再増税の延期を主張。黒田氏は金融緩和政策のためにも増税は必須だと説く。

 来年の10月に実施が予定されている消費税10%の増税について、政府の経済政策のチームの一員である内閣官房参与の本田悦朗静岡県立大教授が、「困難」とする見解を示した。8月27日に共同通信がインタビューを行った際、本田氏は4月に行った8%の消費税増税によって景気が落ち込んでいることを指摘し、消費支出が減少している中でさらなる増税はリスクが大きいと懸念を表した。今後の経済の動きを慎重に確認していきながら、10%の増税を実行に移すには、状況に応じて半年から1年半程度の延期も必要だとした。

 本田氏は2012年12月の第二次安倍政権発足時から、首相の相談役として内閣官房参与の役職に就き、経済政策の舵取りに深く関っている。安倍首相は10%の増税についての是非を本年度中に決定する方針だが、本田氏の慎重な意見が踏まえられると増税が先送りになる可能性も出てくる。

 反対に日銀の黒田総裁は、消費税10%の再増税をしない方が、リスクが大きくなると発言した。日本銀行は13年4月より、量的・質的金融緩和政策を導入している。消費者物価を前年比2%に上昇させることを目標に据え、金融市場調節を行っている。長期国債や投資信託(ETF)の保有額を2年間で倍増していき、さらに長期国債買入れの平均残存期間を3年弱から7年程度にまで延長する計画を進めている。黒田氏は目標値を達成させるには財政の信認が欠かせないとし、増税の必要性を訴えた。増税を延期すれば金融政策が制御できなくなり、財政赤字が膨らむだけの結果となってしまうということにもなりかねない。

 これについて本田氏は、財政再建に基づいた動きを国際社会に説明しながら増税を延期することで、国債に対する不信感は抑えられるとし、金利が急激に上昇して経済に打撃を与えるという懸念に捉われる必要はないと説明している。予定通り増税を実施する場合には経済対策に充当する補正予算と、日銀のさらなる金融緩和が必要だとして、社会への慎重な対応を強調した。(編集担当:久保田雄城)