安倍政権は「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を3割にする」との目標を掲げているが、現状では、とても達成する見込みはなさそうだ。経済界の反発が強く、政府は各企業に、「女性管理職の登用比率の数値目標設定を義務づけない」方針を固めた。
女性管理職を育てる道程は険しい。女性たちに、「男性の補佐的役割」しか期待してこなかった企業からは、「リーダーになれる女性が少ない」との声も上がる。実際、多くの女性は一度も昇進したことすらない。
総合情報サイトのオールアバウトが、首都圏在住でフルタイム勤務の男女に「昇進経験」について聞いたところ、女性の約6割(59.8%)が、「1度も昇進したことがない」と回答し、男性を23ポイント上回った。女性はすべての世代で、5割以上が一度も昇進をしていないが、男性は年齢を重ねるとともに昇進回数、経験ともに上がっていく結果となっている。
調査はオールアバウトが今年8月、首都圏(東京、埼玉、神奈川、千葉)在住でフルタイム勤務の20~59歳男女、合計852名(各年代それぞれ約110名ずつ)に対し、ウェブアンケートで実施。
女性の6割が「一度も昇進したことがない」という結果に対し、キャリアカウンセラーの水野順子氏は、「勤続年数が昇進の基準のひとつにある会社が多いこと」を理由に説明する。出産で退職する女性が多い上、女性は男性に比べて転職回数も多い傾向にあり、1社での在籍年数が少なくなる傾向にある。そのため現状では、「昇進の基準を満たしていない」とされてしまうのだ。
さらに、男女別に「昇進したいかどうか」尋ねたところ、男性の33.6%が昇進を希望(「強く望んでいる」+「できれば昇進としたい」)しているのに対し、女性は18.3%と、2倍近い差があった。一方で、「ライフワークバランスを保てる範囲」という条件付きであれば、女性の約3割が昇進を希望している。女性管理職を育てるには、男性中心の「働き方」から見直していく必要があるのは間違いない。(編集担当:北条かや)