法務省は2014年度司法試験の合格結果を発表。合格率は過去最低の22%で8,015人の受験者のうち合格者は1,810人だった。合格者が0人だった法科大学院は4校。一方、予備試験を合格して受験した人の合格率は66.8%と高かった。
法務省は9月9日、2014年度司法試験の合格結果を発表した。出願者は9,255人でうち8,015人が受験者となり、1,810人が合格した。合格率は過去最低の22%で、前年度より239人減っている。合格者数が2,000人を切ったのは06年以降初めてのこととなった。
法科大学院別に合格者数を見ると、1位の早稲田大は172人の合格者を出したが合格率は35.2%、2位の中央大は164人で34.5%、3位は東大の158人で52.0%、前年度合格者数1位だった慶応大は4位となり150人で44.6%、5位は京都大で130人53.1%だった。
一方、予備試験を合格して受験した人の合格率は66.8%で、全国の法科大学院よりも格段に高い合格率となった。合格者は過去最多の163人で、合格率は3年連続で法科大学院を追い抜いている。予備試験合格者の司法試験合格率が伸びている理由としては、法科大学院在学中から予備試験を受ける学生が多くなっており、優秀な学生ほど予備試験で合格していることが指摘されている。
また司法試験の合格者が1桁だった法科大学院は39校だった。さらに神奈川大、愛知学院大、島根大、姫路独協大においては0人という厳しい結果となり、関係者は頭を悩ませている。神奈川大では成績優秀者を増やす試みとして、学費の補助に加えて現金100万円の給付制度を設けていたが、今回40人が受験したものの合格者を出すことができなかった。少子化による学生減少の波も押し寄せる中、このままでは大学自体の存続も危ぶまれる。21人が受験した島根大大学院法務研究科(山陰法科大学院)は合格者0という結果を受けて朝田良作科長が記者会見し、今後は「書く力の強化」を中心に教育向上を目指し、若手の弁護士に協力を仰ぎながら現状を改善していけるよう努力すると述べた。
予備試験はもともと経済的事情により法科大学院に通うことが困難な人に対し、司法試験を受ける機会を設けるために導入された制度だ。しかし受験資格について特に規定がないため、現役の法科大学院生が予備試験を受験するというケースが増えている。政府は予備試験の受験者資格を改めて設けることも検討しているが、線引きの難しさもあり改定の目途は立っていない。(編集担当:久保田雄城)