自治体が観光アプリを制作する必然性を考える

2014年10月06日 09:23

画・自治体が観光アプリを制作する必然性を考える

国が「観光立国」を掲げ、全国の地方自治体は様々な地域振興・観光振興を進めている。そうしたなか、岩手県はスマートフォン向け無料ゲームアプリ「Ingress(イングレス)」を活用した観光振興や地域活性化を探っている。

 国が「観光立国」を掲げ、全国の地方自治体は様々な地域振興・観光振興を進めている。そうしたなか、岩手県はスマートフォン向け無料ゲームアプリ「Ingress(イングレス)」を活用した観光振興や地域活性化を探っている。研究会を県庁内に発足させて、会合を開き、今後、その活用方法を検討していき、実施を目指す模様だ。

 イングレスとは、世界で500万ダウンロードを誇るゲームアプリで、緑と青の2チームに分かれて、「ポータル」と呼ばれる実際に存在する拠点を奪い合って戦う、いわゆる陣取りゲームである。現実世界に紐づけられた仮想世界の地図上で、スマホを持って地域を移動し、合戦を楽しめる。無料であり、グーグルアカウントが必要なだけだ。実際の場所を訪問する中で、「こんなところがあったのか」といったゲームを通しての地域の魅力再発見が期待されている。

 全国でも、こうしたアプリと地域振興の動きが始まっている。さいたま市は盆栽育成アプリ「つい、盆栽」をさいたま市大宮盆栽美術館監修のもと作成した。観光案内のアプリ、「熊本ご当地アプリβ」(日本Androidの会の熊本支部)、「諏訪市まち歩きナビ すわなび」(諏訪市)、「福ぶら」(福岡市や九州大学他)なども作成されている。今後もこの動きは加速されるだろう。これまでは、ガイドブックや観光情報を見て、それを受けて行動していたものだ。しかし、アプリを使いながらリアルタイムに変化する状況をもとに行動する、しかも双方向的なコミュニケーションも取れることなど、観光行動自体も大きく変わってくるかもしれない。

 観光とアプリなどのコラボの可能性は大いにあるし、今後期待される分野であろう。しかし、ハッカソンやアイデアソンなど、若者を中心に地域活性化のために集まってITの活用を考える活動は全国各地でたくさん行われている。そうした中、県が主導して研究会をしていく必要があるのか。官が中心にやることなのだろうか。民主導で進めていき、官はそれをサポートしていくほうがよいのではないかと筆者は思ってしまうのだが。(編集担当:久保田雄城)