終わらない「脳トレブーム」

2012年12月23日 15:31

  「脳トレブーム」はもともと、任天堂から2005年に発売された、ニンテンドーDS向けのゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」が火付け役となった。それから8年経った今でも、「脳トレ」は世の人々の大きな関心と話題を呼び、「脳トレ」関連商品も続々と販売されている。

  東北大学の川島隆太教授が監修したゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、続編の「もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」と2作合わせて全世界で1720万本以上を売り上げる超ヒット作となった。テレビゲーム全盛の時代でさえ、10万本売れればヒット商品と呼ばれたことを思うと、その凄まじさが窺える。

  また、川島教授が発売した書籍「脳を鍛える大人のドリル」シリーズ(くもん出版)も累計350万部を超える大ヒットを記録していることからも、「脳トレブーム」は、この川島教授が仕掛けたものと言っても、過言ではないだろう。そして、その後も「脳トレ」ブームは、ゲームやパズルなどの枠を越えて、音読、塗り絵、英会話など、止まるところを知らない広がりを見せている。しかも、ここにきて2013年は、再び「脳トレ」意識が高まるとみられているのだ。

  その理由は、厚生労働省が作成した医療計画のガイドラインにある。厚生労働省はこの度、これまでの四大疾病に、近年話題に上ることの多い「認知症」や「うつ病」などの精神疾患を加えて五大疾病とした。各自治体はこれを受けて、2013年度から予防や改善のための予算を設けることになっている。つまり、国を挙げて「脳トレ」に取り組むというのだ。

  すでに大手企業でも、この来るべき「第二の脳トレブーム」の波に乗ろうという動きも活発になりつつある。従来のゲームや、書籍、DVDなどに加え、さまざまな形やアプローチでの脳トレビジネス、脳トレグッズが続々と開発されているが、なかでもユニークなのが、バンダイナムコホールディングス だ。

  同グループでは、1985年より福祉事業を展開しているが、その技術や経験を生かし、1999年からは、「遊び」と「福祉」の融合をさらに本格的に目指す「バリアフリーエンターテインメント構想」を掲げ、リハビリ機器の開発や空間づくりに積極的に取り組んでいる。

  その中で設立した高齢者向け施設の「かいかや」を運営する、「株式会社かいかや」がこの度、九州大学病院などと共同で脳機能や運動機能などを活性化するゲーム機「ドキドキへび退治II」を開発した。これは、出てくるヘビを足で踏むだけのゲームだが、高齢者でも楽しみながら脳の活性化が期待できるとのことで、まずは高齢者向け施設から導入が進められている。

  「かいかや」の取り組みにみられるように、これから益々深刻になる高齢化社会において、身体機能だけではなく、脳を若々しく保ち、認知症やアルツハイマーを予防することは必須となるだろう。どうやら、脳トレブームは下火になるどころか、益々大きな市場に発展しそうな勢いである。(編集担当:藤原伊織)