「Newニンテンドー3DS」は、従来機「ニンテンドー3DS」と同じく、標準タイプと大きめのLLタイプの2種類が発売された。希望小売価格は標準タイプ:16000円(税別)、LLタイプ:18800円(税別)。※画像は標準タイプ。こちらのサイズには、着せ替えプレートも販売されている。
10月11日、任天堂<7974>は携帯型ゲーム機の新作「Newニンテンドー3DS」を国内先行発売した。人気シリーズ最新作「モンスターハンター4G」と同日発売にすることで、新型機の訴求効果上昇も狙った形だ。
「Newニンテンドー3DS」は、従来機「ニンテンドー3DS」よりも、さらに快適な3D映像にこだわったハード。ブレ防止機能で、よりストレスなくゲームを楽しめるようにし、スティックやボタンを追加することで、ゲームの機能性も向上させた。
スマホゲームの台頭などもあり、家庭用ゲーム機や携帯型ゲーム機は業界全体で苦戦が続いており、任天堂も2014年4~6月期連結決算では、同期4年連続の営業赤字を記録している。そこからの脱却を図るためにも、今回の「Newニンテンドー3DS」の販売から年末商戦にかけては一つの正念場となるだろう。
「モンスターハンター4G」に続いては、11月21日にヒットシリーズ新作「ポケットモンスター・オメガルビー」と「ポケットモンスター・アルファサファイア」の発売が予定されている。加えて、11月にはオーストラリアとニュージーランドで「Newニンテンドー3DS」が発売する。完全な次世代機ではなく、従来機のマイナーチェンジだということもあり、年末年始に向けて段階的な戦略でじわじわと普及させていこうという姿勢がうかがえる。
しかし、やはりスマホゲームに流れてしまったユーザーを取り戻すだけのパワーは、いまだ感じられない。任天堂の岩田聡社長は、以前から「任天堂はスマホゲームに参入するつもりはない」と繰り返しているが、それに代わる抜本的な対策も出されていないのが現状だ。あくまで『ゲーム機の任天堂』として実直に家庭用ゲーム作りに取り組む姿勢で、発表されている経営戦略で目新しいものは、ほぼ無い。キャラクターの版権ビジネスなども発表されているが、それが大きな一手とは言い難いだろう。
危機感がないようにすら見える、こうした岩田社長の姿勢には、4年間の赤字期間以前の任天堂の健全な財務体質があると思われる。4年間の赤字を経ても、いまだ任天堂は無借金経営を続けている超優良企業だ。そうした余裕から、「誠実に面白いものを作り続け、次のヒット作が産まれれば任天堂は、家庭用ゲーム業界は甦る」という自信があるのかもしれない。
しかし、その間にも株主からの経営評価やゲームユーザーへの求心力はだんだんと下降していくだろう。実直で職人的なゲーム作りを続ける任天堂の姿勢がどこまで維持できるのか、逆転はあるのか、見守りたい。(編集担当:久保田雄城)