有効求人倍率は1.09倍 3年4カ月ぶり低下

2014年11月08日 19:39

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総務省が10月31日、9月の完全失業率を発表した。2カ月ぶりに数値が悪化し、前月に比べて0.1%上昇し3.6%となった。景気回復を背景に、女性の労働市場への参入が進み、失業者が8万人増加したことが、完全失業率を押し上げた要因になっている

 総務省が10月31日、9月の完全失業率を発表した。2カ月ぶりに数値が悪化し、前月に比べて0.1%上昇し3.6%となった。景気回復を背景に、女性の労働市場への参入が進み、失業者が8万人増加したことが、完全失業率を押し上げた要因になっている。完全失業率を男女別にみると、男性が0.1%低下の3.7%。一方、女性は0.2%上昇の3.4%だった。働く能力と意志を持ち、求職活動をしているが、就業の機会がない完全失業者数は237万人。先月より7万人増加している。

 また厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.09倍で前月より低下した。前月比で低下するのは2011年5月以来、3年4カ月ぶり。企業が正社員の採用を進めた結果、派遣関連の求人が減り、倍率の低下につながったと見られている。一方、景気の先行指標となる新規求人倍率は1.67倍でとなり、前月より0.05ポイント上昇。人手不足感の強い医療・福祉業や飲食関連業などで新規求人数が伸びたため、新規求人数は6.3%増加した。

 雇用者数は5626万人と1953年1月の調査開始以来の過去最高を記録。女性の雇用者数も2452万人となり、過去最高を記録している。9月は医療・福祉や卸売・小売業などで女性の雇用者数が伸びた。総務省は、景気回復が職探しの動きに結びついていると見ている。

 円安により値上げも多く行われ、増税後の消費回復は遅れている。勤労者世帯の実質収入も前年比6.0%減し、増税と物価上昇の影響を受けているのが原因である。日本労働組合総連合会は、10月17日に開催した中央執行委員会において、2015年の春闘で2%以上のベースアップを要求する予定だ。

 雇用情勢は、企業業績に遅れて動くのが通常だ。現在、円安や日銀の追加経済緩和、そして消費増税実施の議論も加わり、経済の先行きが不透明になっている。今後、数値が悪化する可能性もはらんでいる。一方で、女性の就業が進み、企業の人手不足感も増加。景気回復の実感が浸透し始めようとしている。増税に関しては、景気回復を待ってからという声も上がっているが、もし景気回復の腰折れをさせるようであるなら、雇用環境の悪化は確実となるだろう。(編集担当:久保田雄城)